メンフィス Homer Banks
僕にとってのホーマー・バンクスのイメージは80年~90年代前半のサザン・ソウルを支えた職人プロデューサーである。
J.ブラックフット、ランディ・ニューマン、シャーリー・ブラウンなど、そのときの時代と切り結びながらもサザン・ソウルの系譜を保っていた。
安定した過去のサウンドを再生産し続けるマラコ録音を歯がゆく思っていただけに、随分と頼もしいものに思えた。
80年代と書いてしまったが、彼の作曲家としてのキャリアはカール・ハンプトンとのコンビで70年代のスタックスで実績がある。ただ80年代から90年代前半の彼が孤軍奮闘という感じだったたけに印象が強いのだ。
その彼が本来は歌手であることは知っていた。
上に上げたカール・ハンプトンとデュオを組んだBanks and Hampton名義のアルバムがワーナーから出ている(1977、マッスル・ショールズ録音!)し、スタックスでの活動以前のMinit録音などはリイシュー・コンピレーションで聴くことができた。
しかし、まだ未リイシューのシングルがあり、それが遂にまとまってCDになったのだ。
リズム・ナンバー主体で、シンガーとしてはやはり小さくまとまっている印象はあるが、サザン・ソウルという山脈の一峰とまではいかなくても広大な裾野を支える好内容だ。
この後、自ら歌うよりは埋もれてしまいそうな才能を開花させていった自律心や判断力には頭が下がるが、それでもそうしたサウンドで彼自身の歌も聴いてみたかったなと思わされる。
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