メロウなWilson Pickett
ソウル初心者の頃、彼のAtlantic録音を揃えていったことを思い出す。
僕は彼の歌を通じてディープ・ソウルやシャウターのあり方について学んでいった。
ところがいつしか彼のレコードを取り出すことも少なくなっていた。
親の恩は死んでから思い知るというが、まさにそんな気持ちだ。
前回も70年代末期の傑作"I want you"について書いた。
ここで読めます
今日はその前作になる1978年の"Funky Situation"について書く。
このアルバムのプロデュースはRick Hall。
もちろんアラバマはマッスル・ショールズのFameスタジオの録音。
ピケットの南部録音(メンフィスとマッスル・ショールズ)は60年代で終わったと思っていたら大きな間違いというわけだ。
しかし録音は78年である。
既にフィリーの全盛も終わり、ディスコの大流行前夜。
ここで聴けるサウンドはもはや、往年のサザン・ソウルのそれではない。
じゃあ駄目なのか?
とんでもない。
ジューシィなソウルがしたたり落ちるような演奏、そしてピケットの歌は全快である。
押せ押せではなく、柔らかく包容力のある歌いかたも聴かせ、ピケットがどれだけ懐の深いシンガーであるかを見せつける。
このアルバムに入っている"Groovin'"、もちろんラスカルズのカバーは、数あるソウル界でのカバーの最高作の一つだと思う。
原曲のアンニュイな雰囲気が吹き飛び、軽快にして強靱な曲になっていることが減点だという人もいるだろうが、ことソウルの曲としてだけ聴けば満点。
いつも思い出話が多くて恐縮(年寄りなんだからしかたがない)だが、当時、映画「限りなく透明に近いブルー」のサントラで山下達郎が歌った"Groovin'"と、あわせてよく聴いていたもの。
The comments to this entry are closed.
Comments
このLP持ってますよ。かなりFUNKな内容でしたね。Rascalsの”Groovin'"なんぞやってた。私は白人の曲をWilsonがカヴァーしているものが結構好きです。古くはHey Jude、Neal Sedaka作、後にキャプテン&テニールがカヴァーしてヒットしたLove Will Keep Us Together、FreeのFire&Water、あとは思い出せないがたくさんあるんですよね。Born To Be Wildは原曲のほうが遥かにいいが...
このアルバムの曲Hold On To Your HineyをWild Cherryがカヴァーしているんですよ、ブログには書きませんでしたが。
Wilsonはやっぱ永遠です、私たちが後続のリスナーに語り繋げなければなりませんね。
Posted by: Hidekichi | January 30, 2006 05:22 AM
>Hidekichiさん
あっちこっちでよろしくお願いします(笑)。
Wild Cherry----うっ弱いところをつかれた。
一枚アルバムを持っているだけです。
ご指摘のカバーが含まれているか調べてみなきゃ(今会社の職場からこっそりコメント中)。
ご教授ありがとうございました。
Posted by: Sugar Pie Guy | January 30, 2006 12:09 PM