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NY参上 Lew Kirton

LewKirton_JustArrivedマイアミのAlstonから満を持して発表されたのがルーの1stアルバムだ。

IThe nvitationsの後、ソロ名義の2枚のシングルを挟み1980年にリリースされている。

当時、このルー・カートンの素性については何も材料がなく、声からThe Invitationsでリードを取っていた男だと指摘した(久保田さんだと聞いた)耳の持ち主は大したものだ。
ただしその裏にはクラレンス・リードが制作にかんでいるという材料があった。
Invitations時代に既にリードが書いた曲が歌われ、このソロ1stのプロデューサーもリードだった。

そしてできあがったのは80年代という新しい時代の活き活きとしたサウンドをバックに、伸びやかにルーが歌う、まごうことなき傑作だった。

私的なブログなので、すぐに脱線するのだが、1980年というのは僕がソウルを聴きはじめた年だ。
この年の暮れに日本で出た桜井ユタカさん編集のThe Drifters、Ben E.King、つまりAtlanticのR&BリイシューのLPを買ったのが僕の黒人音楽との関わりの最初だった。
以来四半世紀。
ルーの1stから、今回の新作までの時間と、僕のそれは時間の濃淡の差はあれど等しい。

時代は変わり、音楽のスタイルも変わった。
変わっていないのはルーの歌に対する姿勢と、僕の好みということになるのだろう。

この傑作アルバムは20世紀も終わりに近い頃、英国ExpansionでCD化された。

だが、僕はこのCD化は、その手法において犯罪的だと思う。

LewKirton_Heaven

オリジナルのLPに、先行したシングルから3曲(1曲はインストなので実質2曲)を足したのはいい。

だが、それはせいぜいボーナス・トラックとして最後に収録するべきじゃないだろうか。
いかなる意図か、オリジナル・アルバムの曲順を無茶苦茶に並べ替え、そこにシングル曲を混ぜ込み、タイトルも変えてしまっている(画像を注意深く見てほしい)。

このアルバムはIsland Girlというレゲエのリズム(でもこれがちゃんとソウルしているだな)からはじまり、A面ラストがNYC(New York City)という曲で終わる。
ジャケット(裏ではポルシェから降りたルーがトランクから、大きなヴィトンのケースを取り出している)を見れば、これがマイアミを発し、N.Y.に来たよ=Just Arrived=という比喩となっていることに気づく仕掛けになっている。

これがマイアミ・サウンド(このアルバムはT.K.のスタジオで録音されている)のN.Y.への殴り込みなのか、あるいはN.Y.のSilver Blueで大成功を収めたとは言い難かったルーの捲土重来なのか、それはいささか深読みすぎるかもしれないが、それにしてもこうした構成を台無しにしたExpansionのリイシューは許し難い。

さらにどうもこのCDは音が悪い。
期待して購入したのだが、隔靴掻痒で、結局僕は自分でLPをCDにし直した(なぜアナログのまま聴かないんだと責められると答に窮するが)。

話が横にそれてしまったが、それにしてもこのアルバムは素晴らしい。
いくつも素晴らしい曲があるが"Time To Get With It"は聴くたびに手に汗握る永遠不滅の傑作だ。

※この曲は、エレキシタールが鳴るが、その響きはフィリーのたとえばスタイリスティックスのそれとは全く異なる。
ディープ・ソウルに使われた希有な例であり、そして現実的に70年代ソウルの最後の煌めきを送る挽歌ではないだろうか。

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