蜃気楼 The Invitations
ルー・カートンが在籍していたThe InvitationsはN.Y.のSilver Blueに4枚のシングルを残している。
僕がコーラス・グループのレコードを集めはじめた頃、先輩からこの4枚は探せば手に入るし、グループ・ファンであれば基本的なアイテムだよと教えられたことがある。
しかし、あまりの人気にこのブートLPが作られ、安直にこれを買ってすませてしまった。
以来、コレクターとは無縁のお手軽リスナーでここまで来てしまった。
ちなみに僕のメモを見たら、このLPを1991年5月16日、大阪へ遊びにいったついでに寄った堺のサムズで買っていた。
このブートを作ったのは東京の某店で、堺まで行ってなぜと今の人は笑うだろうが、昔は情報も流通も現在とは比べものにならなかった。
くだらない話はここまでとして、肝心の内容だが、音質を別にすればおそるべきものだ。
N.Y.のレーベルからリリースされたが録音はフィリーだろう。
フィリー特有のサウンドに当時全盛を極めたコーラス・スタイル。
だがルーの歌はそのなかであまりに重い。
その鋼鉄の歌は圧倒的ですらある。
ただ、よく聴くと彼の歌は若さゆえの硬さがある。
歌の凄さで、Invitations時代のルーを最高とする人も多いが、僕はこの点で与しない。
だがそれにしても4枚のシングルに一曲として駄作がないのにはおそれいる。
さて、このInvitationsには昔から、幻の噂がある。
Silver BlueからLPが出ているのではないかというのだ。
現在にいたるまで誰もこのLPを入手していないのだからガセに決まっているのだが、実は僕もあるバイヤーの人からこんな話を聞いている。
その人が黒人仲買人と電話でレコードの仕入れの話をしていたとき、相手がInvitationsのLPを買わないかと言ってきたというのだ。
勘違いじゃないかと探りを入れたところ、こんなジャケットだと電話口で説明したという。
もちろん今日とりあげたこのグリーンのものではない、4人がポーズをとっているジャケットだという。
結局値段がおりあわず(ブートの可能性もあるので)商談が成立しなかったというのだが、う~ん。
蜃気楼を見て走りより幻とわかったときの幻滅感を味わうよりは、こういう話はこのままにしておいたほうがいいんでしょうね。
※今日紹介したLPは9曲を収録している。Invitationsは4枚のシングル=8曲に、なぜかルー・カートン名義のシングルを一曲追加している。これも不思議なことだ。
※僕の知る限り、Invitationsは英国のフィリーコンピで一曲がCDになっているだけだ。現在最もCD化が望まれるグループだろう(CDになっているよという情報があればお教えください)
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