正しき追悼盤 Luther Vandross
牽強付会すれば、80~90年代のR&Bが決算期を迎え、そのひとつの時代の終わりを体現したとも言える。
そのヒップホップの時代において、歌物R&Bがトップチャートにランクするだけのパワーをどうやって維持すればいいのか、その指針のひとつとなったのがルーサーだったと思う。
その遺徳を偲び出された追悼盤がこれ。
誰もが驚くのが、収録曲の半分がルーサーのオリジナル曲ではないこと。
しかしこれこそ正しい追悼盤だと思う。
ジョン・レノンを追悼して「イマジン」が合唱するのが本当に故人の望んでいることなのか?
エルビスやエバリー・ブラザース、あるいはDr.Feelgood and The Nurse(渋すぎる?)のように故人が好きだった曲を歌ってあげるのが筋ではないか。
ご承知の通り、ルーサーはカバーの名人だった。
オリジナル・アルバムであっても、過去の有名曲(それも女性が歌ったものが多い)を取り上げ、新たな魅力を引き出すのを常としていた。
似たようなことを続けていたのがロジャー率いるZappで、それぞれコンセプトがあった。
たとえばルーサーは、メイジャー・ハリスの"Love won't let me wait"は、スーハースーハーなしで気品高く歌い上げることができる名曲であることを立証した。
この曲が多くの人にカバーされているのはルーサーの功績が多いのではないだろうか。
(もっとも僕はスーハースーハーが大好きで、ライブでもスーハーを入れちゃうメイジャー・ハリスがいいなぁと思っているんだけど)
というわけで本来の追悼はかくあるべし。
でもそれをやりすぎるとリスナーはなにがなんだかわからなくなっちゃうんだけどね。
余談:"Love won't let me wait"を、この追悼盤で歌っているのがジョン・リジェンド。
大型新人ということになっているが、僕はこれではじめて彼の声を聴きました。
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Comments
お久しぶりデス。
私もこのアルバム大好きです!とりわけ好きなのが、Jamie Foxxの"Creepin'"なんですが、とにかくいろんなアーティストがルーサーに対する愛と敬意を持って歌っていると思います。
メイジャー・ハリスの"Love won't let me wait"と言えば、Whispersの最新アルバム「For Your Eres Only」の中で彼らがカバーしてますね。私としてはこれもかなり好きなアレンジです。
Posted by: nasa | March 16, 2006 06:02 PM
>nasaさん
Whispersの新譜(10年ぶりくらい?)は入荷待ちなんです。
なぜか初回の入荷が少なかったみたいです。
nasaさんのコメントで、待つ楽しみが倍増しました!
Posted by: Sugar Pie Guy | March 17, 2006 11:57 AM