音楽の力 Change Of Pace
僕は「音楽を通じて世界に平和を」というような考えかたがどうにも好きになれない。
人の思想や行動は多岐であり、それにすがるような音楽は一方でどんなに優れた楽曲でも受け入れられないことがあるから、つまり「もったいない」と思うのだ。
さて、最近聞いた二つの情報が結びついて、今述べたような音楽のあり方とは逆の作用にショックを受けた。
まずネットのニュースで読んだのが、米国だったか英国だったか、とにかく戦車のなかでiPodをつなぐ端子が装備されたというもの。
このニュースを知ったときは微笑ましく感じた。
兵隊さんも、そりゃ音楽くらい聴きたいよな~、なかなか味なはからいをする国もあるもんだと。
次に、遅ればせながらマイケル・ムーア監督の「華氏911」のDVDをレンタルで借りて観た。
映画そのものは、よく言われる通り偏向しており(悪いと言っているのではない)すべてに頷けるわけではなかったが、非常にショックを受けたシーンがあった。
イラクに派遣された米軍兵士のインタビュー。
現代戦では彼らはインカムの通信機器を装備しており、お互いの連絡、あるいは上官の指示が容易になっている。
そのインカムのBGMにヘビィメタルのような音楽を流しているというのだ。
そのリズムとサウンドで鼓舞され、どんどん敵を殺してやるぞという昂ぶりを感じるのだと言う。
このインタビューではCDを流すと答えていたが、この用途のためにiPod用の端子を設けたわけだ。
ヘヴィメタルという音楽を僕はあまり聴かないが、もちろん音楽に罪はない。
そうした音楽の力を借りて、気持を昂ぶらせる、あるいはなにかを忘れてしまおうという兵士たちの気持にも罪はない。
もっと言えば、兵士達の要求に応える軍にも罪はない。
ここで戦争の是非を問う気はない。
ただ音楽にはそんな力もあるということだ。
くじけている心を勇気づけたり、愛の喜びを昇華させたり、そして「音楽で世界に平和を」と訴える、そうしたものと同列に。
さて、ソウル・ミュージックの時代は、ベトナム戦争の時代と並行していた。
黒人公民権運動のたかまりはベトナム反戦とも重なることがあった。
今日、とりあげるのはそんな時代の一枚。
Bring My Buddies Back Change Of Pace (Stonelady 1001)
制作年はクレジットがなく不明。
タイトルは「仲間と一緒に無事に帰還しよう」という意味だろう。
空母が描かれ、足元には波。
海兵隊だろうか(陸軍だってトランスポートに海軍を使うのだが)。
飛んでいるのは軍用機ではなく旅客機に見える。
こいつで国へ帰りたいということなのかもしれない。
Change Of Paceは男性4人組、一人白人らしいメンバーがいる。
見開きジャケットにメンバーの写真が載っているが、表ジャケットのこの絵のフロント4人の顔はメンバーの顔でもあり、左から二人目の髭の男がその白人。
※画像をクリックすると拡大します
ただ内容はまあまあ。
クールなリズムナンバーがあるわけでも、美しいバラードがあるわけでもない。
"People"というミディアムが良いとは思ったが。
どちかというとジャケットで欲しくなるグループ物の一枚。
いえいえ、音楽にはあんまり力がありすぎても困るんです---ってことで。
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Comments
リリースされた当時は、収録されているクリスマス・ソングが話題に上がりました。
Posted by: Naoya | April 27, 2006 03:22 PM