デトロイト発 Dave Hamilton #1
英国人というのは執念深い、この表現が適切でないとすれば我慢強い、根気がある。
英国のリイシューレーベルで感心するのは、何年もかけて根気よくリサーチとリイシューを徹底すること。
デトロイトのDave Hamiltonの仕事のリイシューの第三集が先頃出たのだが、その第一集が出たのは1998年のこと。足かけ8年かけている。
これを現代の日本に求めるのはさすがに無理だと思う。
8年というサイクルでは、流行は変わるし、対象リスナーのなかにはソウル・ファンをやめてしまっている人すら出てくるだろう。
昔の日本は違ったように思う。
水戸徳川家の「大日本記」などのように時代をこえてまで編纂を続けるということができた。
例えが変か。
Dave Hamilton's Detroit Dancers
various (KENT CDKEND 154) -1998-
というわけで今日は第一集を紹介しよう。
Dave Hamiltonはジョージア州に1925年に生まれる。ご多分に漏れず工業生産拡大期の大移動でデトロイトへ家族とともに引っ越し。
早くからいろいろな楽器を学んでいたそうで、ギター、ピアノのほか、ウクレレやバンジョー、ビブラフォンまでプレイしたという。
(VibeについてはMJQのミルト・ジャクソンが友人だったそうだ)
ソウル・ミュージックの誕生期にはもちろん舞台裏で参加。
モータウンとのセッションも多く、ベリー・ゴーディJr.とのつながりもある。
しかしベリー・ゴーディがモータウンをカリフォルニアに移すときに彼は従わなかった。
ピュアなデトロイト・ソウルの仕事人を選んだわけで、その姿勢がソウル・ファンの琴線に触れるのかもしれない。
このCDに納められているのは、いわゆるノーザン・ダンサーだが、よく感じる「どれも同じじゃん」というマンネリがない。
メロディは起伏に富んでおり、アレンジもひねりのあるものが多い。
彼の音楽的な素養の賜物だろう。
よくバイブを使ったものがあるのも先に書いた通り彼のキャリアを知れば頷ける。
※1970年の彼のインスト"The Deacons"は、マーヴィン・ゲイの"What's Going On"を先取りしていると言ったら、風呂敷を広げすぎだろうか?ぜひ一聴を。
J.T. Rhythm、O.C. Tolbertら魅力的なデトロイト・シャウターが聴けるのも嬉しいが、バリノ・ブラザースのT.C.B.録音が目玉のひとつ。
この当時はまだ子供たちだったようで、ジャクソン5の路線を狙ったとされているが、チャールズ"チャック"バリノは既にあの声でシャウトしている!
What Should I Do / Little Ann
Happiness Is Here / Tobi Lark
You Did / Priscilla Page and Rony Darrell
My Sweet Baby / J.T. Rhythm
I'm Shooting High (I Reach For The Sky) / O C Tolbert
Love Friends And Money / James Lately
(Marriage Is Only) A State Of Mind / James Carpenter
That's All She Wrote / Gil Billingsley
The Deacons / Dave Hamilton
You Won't Miss The Water / Chico & Buddy
I'll Take My Flowers Right Now / Barrino Brothers
Just A MistakevEbonettes
Shoop Doop / Dave Hamilton
Sweep It Out In The Shed / Tobi Lark
Lean Lanky Daddy / Little Ann
Your Love Is What I Want / Ravins
Who Are You Trying To Fool / Dave Hamilton Orchestra
Talking 'Bout Love / Tobi Lark
I'm Pretending / Priscilla Page
Nothing In The World / Dottie And Millie
All I Want Is You / O C Tolbert
Deep Shadows / Little Ann
Heavenly Thing / Mark-Keys
Blue Funk / Dave Hamilton
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