ちょい濃おやじ Otis Clay
僕は日本でオーティス・クレイのステージを3回観ている。
残念なことにO.V.ライトの代打でやってきて日本の音楽ファンの度肝を抜いた伝説のライブはそれ以前で観ていない。
それでも僕が見た最初(2度目の来日)のステージも素晴らしいものだった。
ただ、その次のライブでは明らかに調子が悪かった。
交通事故に遭ってとか、弁解していたように思う。
どちらのステージだったか忘れたが、当時ヒットしていたマンハッタンズの"シャイニング・スター"をカバーしていた。
さらに、サザン・オールスターズの「愛しのエリー」も英語で歌い、これはピンク色のジャケットの日本ライブ・アルバムで聴くことができる。
しばらくして1990年頃に観たのが最後。
このときは、がた~っと力が落ちているように感じた。
歌もだが、迷いがあるというか、どうしてあの曲を歌わないの?というくらいHi時代の曲をとりあげずフラストレーションが残った。
その後、メンフィス・サウンドのヨーロッパ・ツアーという趣のライブCDの中で歌っているのは持っている。
正直なところライブに期待する気持ちはなくしていたのだが、ぼつぼつと出されるスタジオ録音のなかには、なかなか歌っているものがあり、まあ買ってみるかと入手したのが今日紹介するもの。
やはり選曲がおもしろくない。
僕らが愛したHi時代の曲、One-derful時代、あるいはWayloでも初期の曲を聴きたい。
ブルースも歌っているし。
※余談だが、全盛期の頃からインタビューでオーティスは自分のことを「ブルース・シンガー」と形容していた。
我々が思うほどソウルとブルースはかけ離れたものではない=それはわかっているんだが---
ところが、聴き進むとこれがいいんです。
歌の爆発力はないけれど、歌にあるいはショービズに対し真摯に取り組む姿勢は昔のまま。
それに気づくとどうしても感情移入してしまって---。
10数年前「フリー・ソウル」というムーブメントが吹き荒れた頃、その推進者が言ってのけたのが「ソウルはまずオーティス・クレイを聴けなどという教条的な姿勢を排す」という意味のことで、古くからのソウル・ファンがこれに反発して論争になった。
いまとなっては懐かしい話だが、そんな愚にもつかない言い合いなど無縁のところでオーティスは歌い続けているということだ。
自分への反省もこめて、これは良いライブ録音だと重ねて書いておく。
The comments to this entry are closed.
Comments