お帰り Phil Perry
元モントクレアーズ、デュオPerry & Sanlinを経てしばらくのブランクの後、90年代にソロとして再出発。
そのソロ第一弾は(ソウル・ファンに)高い評価を受けながら実際のセールスはどうだったのか、以降ジャズ・フィールドでの活動となってしまった。
クロスオーバーというのは死語なのかもしれないが、エレクトリック・ジャズの演奏に歌を乗せるというスタイルで地位を固めたように思えた。
フジ・JAZZフェスティバルのために来日したこともある。
その彼が久々にR&B/ソウルに帰ってきたのが最新録音。
Classic Love Songs Phil Perry (Shanacie SH-5139) -2006-
全曲、ソウルのそれもモントクレアーズと同時期のグループを中心とした、いわゆるスウィート・ソウルの名曲のカバー。
これは凄いと盛り上がっているかと言うと、最初はそうでもなかった。
マーヴィン・ゲイ、テンプス、デルフォニックス、スタイリスティックス、チャイ・ライツ、スピナーズ、エディ・ホールマン---その元ネタを挙げてみると、あまりに華麗すぎて、なにかしっくりこない。
いずれも、さんざんカバーされ尽くしてきたナンバーばかり。
おっ、そんな曲で来るかというような驚きがない。
弱気になりながら聴きはじめる。
フィル・ペリーの歌の巧さがまったく変わっていないことにまず舌を巻く。
同じファルセット・シンガーとして、デルフォニックスのウィリアム・ハートの衰えようとは雲泥の差だ。
しかし、その巧さがかえって弱い。
ソウル・ミュージックの魅力はエキセントリックな破綻にあると思う。
その素振りも見せないというのは辛い。
こうした彼の声質やシンギング・スタイルが、クロスオーバー・ジャズの世界に向いていたのだろう。
とここまではちっとも褒めていませんね~。
でも本当のところ、聴き進むに従って心地よくなってきました。
やっぱり歌は巧いし、曲は名だたる美メロばかりだし。
たとえば"La la means I love you"。
あのイントロがないんです。トン、トコ・トコ・トンってドラムが。
なんだか眠いはじまり方。
ところがいわゆるジャージーなサウンドにフィル・ペリーの歌が気持ちよくはまる。
こういう音楽もありだという気になってくる。
このスタイルに一番あっているのが"Just My Imagination"かな。
ともかくフィル・ペリーさん、お帰りなさい。
これかもちょくちょくR&B/ソウルに立ち寄ってください。
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Comments
はじめまして!
吉田さんのとこから
散歩してたどりつきました、
う~~
好きで色々聴いてますが・・・
フィル・ペリーは知りませんでした。
Posted by: hide | May 30, 2006 10:18 PM
hideさん、はじめまして。
フィル・ペリーは綺麗なファルセットを聞かせるシンガーです。
もしスウィート・ソウルがお好きでしたら彼が在籍してたモントクレアーズを聴いてみてください。
スウィート系のグループとしては珍しい南部出身のグループです。
これからも、どうぞよろしくお願いします。
Posted by: Sugar Pie Guy | May 31, 2006 03:58 PM