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初期フィリー Swan録音

Rootsofphilly01昨日のスリー・ディグリーズに触発されてフィリーのSwanレーベルの録音を取り上げる。

ソウル時代以前のフィラデルフィアというのは、なんといってもツイストの街だったというイメージがある。

念のために説明しておくと、ツイストというのはその名の通り腰を「捻る」ダンスのこと。
60年代は様々なダンスのためのリズムや曲調が発明された時代だったけれど、ツイストは最もヒットしたものだろう。
70年代に花開くフィリー・ダンサーのルーツはこのツイストにあったと言えるかもしれない。

さらにそれ以前はドゥーワップも盛んだった。
ドゥーワップは別名「ストリート・コーナー・シンフォニー」と呼ばれる通り、大都市の音楽であり、N.Y.、シカゴを中心としたがフィラデルフィアも都市としてそのブームの一翼を担ったわけだ。

さてSwanはバーニー・ベネックというオーナーが1957年に興したレーベルで1966年まで活動していた。
決してR&B専門ではなく、白人のポップスがむしろ主流だったが、一部ながら良質なR&Bやソウルを残している。

今日紹介するのはP-Vineから出たSwanのR&B/ソウルのコンピレーション

Roots Of Philly Groove various (P-Vine PCD-2929) -1994-

ここのスリー・ディグリーズが収録されている。
彼女たちのSwanでの初録音は"Gee Baby"(Swan 4197)で、このCDでは2枚目(同 4214)と3枚目(同 4224)のシングル両面4曲を聴くことができる。

ドゥーワップの名曲"Close Your Eyes"をカバーしているのが、彼女たちのルーツをしのばせ興味深い。
ところでライナーで鈴木啓志さんは、これを「クローヴァーズの曲」と書いているが、The Five KeysのCaptol録音ですよね?
あまりのことに僕のほうが心配になってきた----。

もちろんこのCD、スリー・ディグリーズを聴くだけではもったいない。
彼女たちには失礼ですが、本音です。

Lee Andrews(6曲収録)はソロ名義ながら完全なドゥーワップ・グループ。
ファイブ・サテンズの"In The Still Of The Night"を良い感じでパクった"A Night Like Tonight"は制作にヴァン・マッコイが絡んでいる。さすがのセンス。

夢見るようなガールズ・グループThe Sapphiresは60年代の甘酸っぱさたっぷりだが、こちらはレオン・ハフが絡む。LPも出しているというからたいしたものだ。

興味深いのはThe Showmen。そう、あのジェネラル・ジョンソン率いる連中。
考えてみれば彼らはニュー・オーリンズで脚光を浴び、そしてこのフィリーへ、さらにチェアメン・オブ・ザボードとしてデトロイトへ。さらにはウェスト・コーストへと、時代により舞台を替えていく。そのバイタリティには驚くしかない。

ドゥーワップで一番感心したのがFrankie Grier Quartet。
"Oh Gloria"は、もちろんタイトル通りキャデラックスの名曲を下敷きとしながら、素晴らしいムード。初夏のこの季節、昼からハイ・ボールを飲みながら聴くには最適だ(---すいません。今そうして聴いてるんです)
同じくThe Dreamloversもいい。聞くところによるとイントルーダーズの"When We Get Married"のオリジナルはこいつらだとか。聴いてみたいものだ。

ドゥーワップに欠かせないノベルティ・タッチとしてはThe Cobras(すごい名前!)。
キンキンとするファルセットはリトル・ジョー・クックの"Peanuts"を彷彿とさせる。

白人ながらJohnnie Jacksonの明るいツイストはオールディーズ好きな人には喜ばれるだろう。
同じく白人ドゥーワップ・グループ、Tiffanysの力量にも舌を巻く、黒人並だ。

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