追悼2 Billy Preston
曖昧な書き方をしたのは彼の諸作を聴いていないから。
ソウル・ミュージックとしてはビリーの歌は弱く、どうしても腰が引けてしまう。
歌が下手だというのではない。達者なのだがソウルらしい破綻がない。終生をゴスペルと共にした彼だがゴスペルらしい歌とは無縁なのだ。もっとも、我々門外漢がイメージするゴスペルの姿こそが表層的なのかもしれないが。
このアルバムはとにかくバラエティに富んでいる。ポップス、ファンク、ジャズと様々な音楽スタイルを楽しむことができる。
もちろん、そのいずれも深くない。
これは悪口じゃない。バラエティがあって、そのどれもが深いなどあり得ない。むしろ、常に深さを求めてしまう聴き方が煩悩のように思う。
そして軽やかなスタイルの飛翔の背後に、ビリーの音楽に対する愛情が確かにある。これこそが彼のゴスペルなのかもしれない。
いまは故人となったビリーのこのアルバムを聴き返し、いまさらだがほかの録音も聴いてみたくなった。
昨日、ビートルズとビリー・プレストンとの関係をVee Jayにあるのではと邪推したが、全く違うようだ。なんとデビュー以前のビートルズがハンブルグで稼いでいたとき、リトル・リチャードのバックとして同じくドイツを訪れたビリーと知り合ったのが縁だという。けっこうディープな話だねぇ。
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