追悼 Billy Preston
御多分に漏れず、僕も彼を最初に知ったのはビートルズの映画"Let It Be"だった。
スタジオで、そしてアップルビルの屋上でにこにこ笑いながらオルガンを弾くビリーは場違いのようで目立った。
なにしろビートルズは解散が間近で、皆の表情は険しかったから。
あまりビートルズについては詳しくないので知らないが、アップルというレコード会社はどうやって契約アーティストを見つけてきたのだろう。
シンガー・ソング・ライターの草分けとなるジェイムス・テイラーや、このビリー・プレストンがどうやって選ばれたのだろう。
ビートルズのアメリカでの版権はCaptolだが、最初期はVee Jayが権利を得てシングルを出していた。
今日選んだビリーのオルガン・インストも当時(1964~66年)のVee Jay録音で、EMIとなんらかの関係があって、それがビリーのアップルとの契約につながったのかもしれない。
こんな憶測を重ねるより、ビートルズ・マニアに尋ねたほうが早いのだが。
というわけで、Vee Jay録音をCDでリイシューしたのがこれ。
Billys Bag Billy Preston (RPM RPMSH 231)
ジミー・スミスに代表されるオルガン・ジャズっぽいが(※ピアノ曲もある)、やはりどこか通俗で下世話でR&Bにカテゴライズするべきだろう。
それはゴスペルに近いということでもあり、事実ビリー・プレストンの後半生はゴスペルの世界にあった。
"How Great Thou Art"はライブで、観客の黒人の高揚が凄い。これこそがゴスペルの強さだ。
人はいつか死ぬ。
ソウルの時代とは1970年代だったから、我々は訃報と共に生きてゆかねばならない。
それから逃れるのは自分が先に死ぬしかない。
故人を惜しみながら通夜することにしよう。
相棒は貰いものの芋焼酎「甘宝」で。
ああ、ビリーのオルガンが沁みてきた。
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