番外編 James Taylor
ソウル/R&Bのブログということで、皆さんジェイムス・テイラーについてあまり知らないかもしれない。
シンガー・ソング・ライターの時代を牽引した重要なミュージシャンであり、大物という言葉はキャラクターには似合わないが音楽史的にはまごうことなき大物である。
僕はご承知の通りソウル/R&Bというジャンルの音楽が大好きだが、例外はあるものの白人のR&Bというのがあまり好きになれない。
たとえばエリック・クラプトンとかローリング・ストーンズのようなブルースを原点とする連中の存在はすごいと思うが、聴くんだったらオリジナルの黒人に傾いてしまう。
いっぽうでこれぞ白人というサウンドに惹かれることがある。
ビーチ・ボーイズがその代表だが、このジェイムス・テイラーも大好きだ。ハート・ウォーミングと評するのは陳腐だが、肩肘はらず身の丈にあったナチュラルな時間を体感することができる。
しかし、それはブラック・ミュージック=R&Bと無縁かと言えばそうではない。
ビーチボーイズのスタイルはデビュー期のヒット"Surfin' USA"が象徴するように、フォー・フレッシュメン(白人)風のコーラスを、チャック・ベリー(むろん黒人)のビートに載せたことにある。
同じくジェイムス・テイラーもR&Bと根っこでは無縁ではない。
考えてみれば当たり前の話で、アメリカの短い歴史のなかで常に白人と黒人は交錯してきた。私生活を歌うシンガー・ソング・ライターの血肉にそれは不可分なのだろう。
ジェイムス・テイラーは優れた楽曲を作る才にあふれているが、黒人のカバーも素晴らしい。
その代表のひとつがマーヴィン・ゲイの"How Sweet It Is"であり、もうひとつがここ4日間のテーマ、ボビー・ウォマックの"Woman's Gotta Have It"。
ジェイムス・テイラーの"Woman's Gotta Have It"はとにかく素晴らしい。この曲のあらゆるカバーのなかで、そして本当を言うとボビーのオリジナルより僕は好きだ。
70年代ウェストコーストのスタジオ・ミュージシャンの最高峰を集めた演奏は、まさにクロスオーバーな魅力に溢れている。そしてジェイムス・テイラーの歌はまったく黒人臭くはないが、奥にソウルを秘めている。
この曲は1976年のアルバム"In My Pocket"に収録されている。
もしこのカバーを聴いたことのないソウル/R&Bファンの方がいたら、ぜひ聴いてほしい。
レンタルCD屋さんに行けばあるんじゃないかな。
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