本日休業 最強カップリング
中古レコード屋を巡る楽しみの一つが、50円から100円くらいの均一バーゲンのシングルを漁ること。
このなかから「おやっ?」と思うようなソウルの日本盤シングルが出てくることもあるのだが、それは年に数回の大当たりで、だいたいはユーロ・ディスコくらいが関の山。
むしろソウル/R&B以外のもので収穫がある。
今日取り上げたのは、僕にとってのお宝入りをした一枚。100円でした。
映画「エアポート'75」と「エマニエル夫人」の主題曲がカップリングされたもの。
(ジャケット画像をクリックすると拡大するので細部までご覧いただきたい)
ここでシングルAB面の最強という話に振る。
音楽好きがこの話題をしはじめるとけっこう楽しめるのだが、誰もが「う~ん」と沈黙するのが2枚ある。
ひとつはThe Beach Boys。
"I Get Around"と"Don't Worry Baby"がシングルのAB面だった----凄いでしょ。
全盛期のブライアン・ウィルソンの凄さに震える。
お次は我らがクレイジーキャッツ。
「無責任一代男」と「ハイそれまでヨ」がAB面だったんですよ。
青島幸男の詞と萩原哲晶のメロディ/アレンジによる最高傑作同士。
さて、しかし今日のこのカップリングもなかなか。
機会があれば両方の映画を観てほしい。
----というのは嘘、お薦めしない。
つい両方を観てしまったという方には、ご愁傷様でおわかりだと思うが「バカ映画」である。
「エアポート」は第一作邦題「大空港」からシリーズ化され、進むに従い荒唐無稽になっていく。
「エマニエル夫人」は中途半端なポルノで、しかもヨーロッパ人のアジア人に対する偏見が腹に据えかねる。そもそもつまんないストーリー。
そんなバカ映画のカップリング。
これはこれで凄い。
ジャケットの左上に「本命盤」と書いてあるのも凄い。
「エマニエル夫人」は、シャンソン調の本当の主題歌があって、当時そこそこヒットした(ただし日本だけ。そもそもこの映画があんなに話題になったのは日本だけらしい)。
それを向こうに「本命盤」というのは言ったもの勝ちというか何と言うか---。
演奏は共にモーリス・ローラン・オーケストラ、つまり安易な演奏盤に過ぎない。
そもそも両映画の配給会社が違う。
「エアポート'75」はCIC、「エマニエル夫人」はヘラルド映画。
そのくせ、ジャケットにはちゃんと両方の公式の絵柄/写真を使っている。
おおらかな時代というか、映画の販促になればなんでもいいやと配給会社も許可したんだろう。
最後にトリビアを。
「エマニエル夫人」の主演のシルビア・クリステルは、エアポート・シリーズの「エアポート'80」にも出演している。
この、おバカな主題曲カップリング・シングルの取り持つ縁だろうか。
そんなわけはないのだが、その「エアポート'80」は必見の映画である。
先に「エアポート」シリーズはバカ映画なのでお薦めしないと書いたが、「エアポート'80」はバカ映画の頂点、金字塔。
ここまでバカだと観る価値がある。
酒の席のネタに困らなくなるという意味で必見。
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