名カバー集 Regina Belle
念のために書いておくとトリビュート形式のカバー集には例外的におもしろいものがある。
悪いのは、単にソウルの名曲を歌ってみました~というやつ。
昨日紹介したMaysa、一昨日のPhil Perry。
それぞれに良いカバーもあるのだが、アルバム全体として聴くと正直おもしろくない。
ところがここに希有な一枚がある。
Reachin' Back Regina Belle (SONY SRCS7769)
-1995-
日本盤のタイトルが「フィリー」。
その名の通り、オリジナルのテーマ曲を除き全曲がフィリーの名曲カバー。
1.リーチン・バック(イントロ)
2.フィラデルフィアより愛をこめて
3.LOVE T.K.O.
4.誓い
5.ハリー・アップ・ディス・ウェイ・アゲイン
6.ザ・ホール・タウンズ・ラフィンズ・アット・ミー
7.ユー・アー・エヴリシング
8.レット・ミー・メイク・ラヴ・トゥ・ユー
9.いつもあなたと
10.ジャスト・ドント・ウォント・トゥ・ビー・ロンリー
11.ディドント・アイ(ブロウ・ユア・マインド・ディス・タイム)
日本タイトルで記載してみた。ちなみに9曲めの「いつもあなたと」は"I'll Be Around"のこと。
スピナーズ、テディ・ペンダーグラス、スタイリスティックス、ブルー・マジック、デルフォニックス---
そうした元ネタだが、ここで一つ特筆すべきことがある。
残念ながら僕の発見ではなく、このアルバムが出たときのレビューで中河さんだったかな(うろ覚え)が指摘していた点だが、曲のライターを眺めるとトム・ベルの比重が高く、バニー・シグラーやセシル・ウーマックらが加わるものの、見事にギャンブル=ハフ作品が一曲も収録されていない。
このアルバムのプロデュースにはジェラルド・リバートが加わっていることを考えると、ちょっと皮肉だが(注:彼の父エディ・リバートのオージェイズはギャンブル=ハフの子飼いといっていい存在だったから)、これはレジーナ・ベルの好みが強く出た結果だろう。
これを証明するようにジャケットのインナーには少女時代や、おそらくプロデビュー前の歌手時代の写真が掲載されている。
そして「私はこんな曲が大好きだったのよ!」という心がカバーの一曲一曲にこもっているように感じる。
カバーかくありき。
その原曲に新たな魅力を付け加える強い自信があるというなら別だが、大名曲に対して、それは往々にして無理になる。
であれば、そこにはリスペクトや愛情がなければならない。
ほかのシンガーのカバーが一様にリスペクトも愛もないと言っているのではないが、少なくともそれがリスナーに伝わってこなければ駄目だろうと思う。
このレジーナ・ベル95年のアルバムに僕は彼女の歌に対する愛情を感じたということなのだ。
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Comments
はじめまして!
SOUL大好きとしては、
気になるblogです。
フィラデルフィアより愛をこめて
日本タイトルで記載するところが
いいっね~
このアルバム、カバーのわりには
いいですよね!
Posted by: hide | June 03, 2006 08:21 PM
これ大好きです!!
まだsoulって何かもわからないような高校時代に初めて聴いて以来のお気に入りです!
もちろん元歌も曲名もアーティスト名もわからないまま聴いてました。
その後10年くらい経って自分はどうやらフィリー系soulが好きみたいだと認識した私。。。
90年代前半のblack musicにはカバーにしてもHipHopのサンプリングにしても“愛”とか“リスペクト”を感じます。
例えば、、、私たちはバリバリのR.Kelly世代ですが彼のIsleyに対するそれとか、です。
Posted by: twinsoul | June 06, 2006 12:55 AM
hideさん、twinsoulさん、コメントありがとうございます。
お二人のブログにもお伺いいたしました。
揃っておもしろく、じっくりと読まさせていただきます。
今度ともどうぞよろしくお願いいたします。
ところで僕もR.ケリーは大好き。
もちろんアイズリー・ブラザースも。
しかし、よしきさんに指摘されて成る程と思ったのですが、R.ケリーが絡むと、なぜかアーニーのギターがフューチャーされないんですよね。
どうしてなんだろう?
Posted by: Sugar Pie Guy | June 07, 2006 05:41 PM