イエローソウル Human Soul
R&Bは音楽のジャンル、いっぽうソウルは黒人によるR&Bのみを言う。だから白人がソウルに近いことをすればBlue Eyed Soulと呼ばれたわけだし、現在チャートのジャンル名にソウル(=ブラコン)が遣われずR&Bが使われる所以である。
現在、日本の歌謡界にR&Bの影響は強いが、そんなわけでソウルと呼べるものはない。
しかし過去において、最もソウルに近づいたグループがいた。そのグループHuman Soulのカバー集を今日は取り上げる。
Quiet Storm For Lovers Human Soul (GC-4) -1992-
このアルバムは全曲カバー(For Lovers Onlyのテーマ部分だけはオリジナルだが)。
Me & Mrs. Jones - In The Rain
Betcha By Gollly, Wow
My, My, My - Rock Me Tonight
For Lovers Only
Love On A Two Way Street
Take To The Limit
There's No Me Without You
Kiss And Say Goodbye
You Don't Have To Be A Star
God Bless The Child
A Song For Donny
Human Soulはコーラス・グループではなく、バックの演奏陣まで含めた名称だと理解している。
サウンドもソウル独特のグルーヴが感じられ「知っているな」という感を受ける。
歌の中核はJAY公山とSILKY藤野の二人で、藤野のファルセットは日本人離れしている。裏声がキンキンせず、甘さがある=黒人に近い。公山は、おそらくテナーの声質なんだと思う。歌によってバリトンの声域まで下りてきている。残念ながら、ややその音域では「がなり」がみられ黒人とイコールとはいかない。しかし、その心意気に熱いものを感じる。(公山はその後ゴスペル界で名をあげていく)
Human Soulについて僕はあまり知っているわけではなく、彼らの本領はカバーではなくオリジナルにあるとも聞く。
ただこのカバー集の選曲が素晴らしい。
ジョニー・ギルの"My,My,My"から、フレディ・ジャクソンの"Rock Me Tonight"へ行くというのは80年代から90年代のブラコンを象徴しているし、さらにメドレー"For Lovers Only"のなかで、モーメンツからR,G&Bの"Take To The Limit"へいくのには我が意を得たり。(大きなヒットにはならなかったが、この曲はR,G&Bのスウィート美学の頂点だと思う)
最もソウルに近づいた連中、彼らをイエロー・ソウルと呼んでも差し支えないのではないか。
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