黒くなりたかった男 Jeff Hendrick
実はこれ白人シンガーなのだ。
内ジャケットには、いちおう顔がわかる写真も入っているが、まるで自分が白人であることを隠しているようだ。
たとえばジェイムス・ブラウンのアルバム"Please Please Please"(1959)、あるいはアイズレー・ブラザースの"This Old Heart of Mine"(1966)でわかるように、かっては黒人の顔を出さないほうが白人マーケットに受け入れられやすい時代があったのだが、いまやソウル/R&Bを歌いたい白人がその逆を行っているということか。
Soul Celebration Jeff Hendrick (Bout Time 6-25385-11422) -2006-
タイトル「ソウル・セレブレーション」も直截だが、内容もメロウなソウル感に満ちている。歌もまずまず。
よく頑張ったと褒めてやりたい気もするし、もしこのジェフさんが身近な人だったら応援団に参加したいくらいだ。
ただ実際には赤の他人、一面識もない。そうなると、正直なところこのアルバムを聴きたいという欲求は希薄にならざるを得ない。やはりソウル/R&Bには越えられない人種の壁がある。
具体的に指摘すると「破綻」がないのだ。エキセントリックな高揚と言い換えてもいい。
ただし決して悪い内容ではない。これに劣る、つまらない黒人の録音もたくさんある。話題になるのも頷ける。
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