新時代の出発 Impressions
僕はインプレッションズが大好きで、この時代に輩出したエピゴーネン・グループ(ヴァン・ダイクスとかエスクワイヤーズとか)も好き。
ところが趣味というのは人それぞれで、スウィート系のコーラス・グループ・ファンで「カーティスのいる頃のインプレッションズは苦手で---」というような発言をする人もいる。僕にはとんと理解できないのだが、けっこうこういう人は多い。
まあ、そういう点だけは頭に置いてもらうとして、このABC移籍後の1stは「実にどうも」素晴らしいと思う。
その理由のひとつがコーラス・スタイルにバラエティがあること。ジャケットには3人しか写っていないが、それ以前の5人組時代の録音も混じっている。
ドゥーワップが飽きられ、次の時代のコーラス・スタイルをまだ誰も決めかねているとき、インプレッションズがカーティスを中心とした3人組になったというのは「実にどうも」大変なことだった。
特にカーティスのギターをフューチャーし歌うのが3人となると、当時の常識からすれば、古くからあるジュビリー系のコーラス・スタイルになりそうなものだが、カーティスはここにゴスペル直系のコール&レスポンスのスタイルを持ち込む。
これがどれほど革新的だったのかは僕にもわからない。ただはっきりしているのは、そうした新生インプレッションズがヒットを放ったことは間違いなくソウル界の革新だった。
だが、先に記した通り、このアルバムには5人組時代の録音も入っており、それはそれで非常に楽しめる。
特にドゥーワップ・スタイルで歌われるジョニー・エイスの"never let me go"は「実にどうも」素晴らしい。ドゥー・ワップというスタイルの終焉にとどめをさしたカーティスだが、その歴史の最後の名演としても良いのではないか。
なお、このアルバム、当初は"Gypcy Woman"からはじまっていた。その後シングルの"It's alright"のヒットを受け、これを急遽一曲めにもってきて、代わりに一曲が抜かれてしまった。日本で出たCDはその両曲を含んでおりありがたい。
The comments to this entry are closed.
Comments