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歌巧者 Jackie Wilson

Jackiewilson_higher ソウル史上最も歌の巧いシンガーは誰だろう。

 もとより邪気な質問で、誰が一番などとおいそれとは決められない。さらに、ソウル・ミュージックとは歌の巧さとは異なる尺度「深さ」で語られるべきものだし。

 だが、ジャッキー・ウィルソンの歌が、ほかのどんなシンガーよりも巧みだったことは間違いない。

 僕はそもそもコーラス・グループ、それもスウィート・ソウルと呼ばれるジャンルが好きなので、だいたい下手くそな歌手ばかり聴いていることが多い。
 だが、あまり聴きすぎると体に悪い。きっと肝臓がやられるんだろう。
 そんなときに無性にジャッキー・ウィルソンが聴きたくなることがある。そして毎度、嘆息する。なんて歌が巧いのだろうと。

 微動だに狂わない音程、伸びる声、無比のリズム感、細かなテクニックを盛り込むタイミングの良さはソウル・フィーリングに溢れ----完璧という表現がこれほどあてはまる歌手はいないと思う。

 しかしいっぽうで、アーリー・ソウルのジャイアンツとして、ソウル以外の録音も多い。
 ジャズ・スタンダードのような曲調を、朗々と歌いあげる----歌が巧いからそれはそれで素晴らしいのだが、ソウル肝硬変の身にはちと辛いのも確か。

 今日紹介するKENT盤は、100%ソウルがつまった素晴らしい編集のベスト。

Higher & Higher Jackie Wilson (KENT CDKEN 901) 

 ジャッキー・ウィルソンはデトロイトのシンガーだが、ソロの全ての録音がブランズウィックで、特に彼のキャリアの中期以降はシカゴ・ソウルの音。ウィンディ・ソウルの最高がここにはつまっている。

 歌の巧さがわかるのは、たとえば"This Love Is Real"。お得意のオペラ唱法が表には出ず、シカゴらしい小粋な歌いかたをしているが、随所にテクニックを盛り込む。軽いシャウト、わざと崩して声を出す部分、メロディの最後に一瞬ファルセットを効かせる----そしてなにより素晴らしいのはリズム感。ジャッキー・ウィルソンの映像をいくつか観ているが、あの独特な首を振るリズムが歌を聴いているだけで乗り移ってくる。

 収録されている曲は、どれも曲も素晴らしいとしか言えず、いったいこの人は一曲でも壁を完全しない録音があるのだろうかと訝しくさえ思えてくる。しかしなかでも"Whispers"は僕にとっての究極のソウルの一つ。女性コーラス、ストリングス、リズム・セクション、すべてが渾然一体となって魂の高揚をもたらす。

 ジャッキー・ウィルソン並に歌の巧いシンガーをあげていくと、クライド・マクファターの名も出てくるが、この二人がドミノスという同じグループのリードをそれぞれ勤めたというのは、人智を超えたソウルの神の御業だと思えてくる。神は二度とこのようなシンガーを現世にお遣わしにはならなのだろうか。

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Comments

Jackie Wilson 僕も一時期はまりましたね~。
完璧さではDinah Washington に匹敵しますね。
歌もそうなんですが何と言っても映画Go Johnny Go の出演シーンのYou Better Know It のフリと歌の一体感にはやられました。James Brown (本人は言うまでもなくバックのフレイムズの踊りまでメチャ巧み)や Treniers のフリ=歌もすごいけどこのJackie のパフォーマンスは非の打ち所のない完璧な一体感で忘れられない。同じ映画のFlamingos のVoo-It, Voo-It もすごかった。レコードで聞いていたムード歌謡なFlamingos からは想像できないダイナミックなスプリットを決めまくっていましたからね。歌いながら歌とぴったり合致した振り付けをするっていうのは見ていて本当に気持ちいい。50~60年代の男のパフォーマーは多かれ少なかれ歌=踊りを決めていましたが80年代以降は薄れていますね。(Prince はやってますが)
こういう伝統って今はどうなんでしょう?大半のラップではダンサーとシンガー(ラッパー)が分業しているしラッパーの踊りもあんまりないし面白くないな~などと思っていたらBlack Eyed Peas をみてぶっ飛びました。あとはUsher か、、、。

Posted by: frisco | August 07, 2006 at 03:58 PM

>Flamingos のVoo-It, Voo-It もすごかった
フラミンゴスと言えば、"I only have eyes for you"というイメージですが、この"Jump Children"には、ぶっ飛びますね。
英Charlyのジャンプのナイス・コンピ"Honky Tonk Jump Party"に収録されていて、こんな曲があったのかと慌てて彼らのアルバムで聴き直したものです。

Posted by: Sugar Pie Guy | August 13, 2006 at 11:03 PM

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