凄いコンピ The Knight Brothers
しかし、それは僕がソウルのレコードを集めはじめの頃で、少ない予算からデュオは後回しにしてしまい未入手だった。
コンピなどで、いくつかの曲は聴くことができるものの、あのLPを手に入れておけば良かったと臍を噛んでいたところに、r.p.m=Shoutが素晴らしい仕事でリイシューをまとめてくれた。
偉そうに書いたが、このCDが出たのは2004年。しかし最近まで存在を知らなかった。情報収集力に欠けるのは昔も今も変わっていない。
Temptation The Knight Brothers (r.p.m RPMSH 279)
長文のブックレットを読んで、はじめて知ったことがいくつかあった。
てっきりナイト兄弟かと思ったら、メンバーのRichard DunbarとJimmy Diggs二人の間に血のつながりはないという。さらにシカゴ出身かと思ったらワシントンDCだと言う。お隣のデトロイト、あるいは南部から出てくることはよく聞くが、ワシントンDCとはね~。
r.p.mの仕事が凄いのは、Chess録音のすべてに、メンバーのJimmy Diggsが参加していたCarltonsのArgoのシングルをすべて、さらにナイト・ブラザース末期のMercury録音まで全24曲を詰め込んでいる。
Carltonsはそこそこ知られたグループで、たとえばIPTのコンピUndergroud Oldiesシリーズに"Hey Mr Lonesome"が収録されていたが、ナイト・ブラザースと関係があったとはねぇ~。
肝心の内容だが、ナイト・ブラザースについては文句なし。初期の"I Really Love You"のようなアーリーソウル然としたもの、中期のインプレッションズまるだしのもの(実態は迷走かもしれないが)まで楽しめる。
カールトンズについては、Jimmy Diggsがナイト・ブラザースを脱退し(デュオだがら、それは即ち解散ということだな)結成したのではなく、同時進行だったらしい。先頃亡くなった松本竜介が「神助・竜介」に在籍しながら、「うなずきトリオ」のメンバーとしてレコードを録音したようなものだ(えっわからない?)
"Keep On Hoping"などインプレッションズ風で楽しめるが、ナイト・ブラザースの同じくインプレッションズ風の"Temptation 'Bout To Get Me"などに比べると、ひとつ落ち、B級グループであるのは否めない。
ブックレットを読んで感心することばかりだったのだが(それは僕にソウルの常識がないからだろうと思う)、一番驚いたのが彼らの近況。
Jimmy Diggsはホームレスになっているという(その後、このCDが契機になったのかステージに立ったりしたらしい=ネット情報)。そしてRichard Dunbarはビル・ピンクニーが率いるオリジナル・ドリフターズの一員だというのだ。
これが最後の「へぇ~」。というわけで明日は、そのビル・ピンクニー&オリジナル・ドリフターズを紹介しよう。
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Comments
Jimmy Diggsが突然姿を消し、彼の代わりとしてWinfield ParkerがRichardと共にKnight Bros.としてステージ活動をしていたそうです。 その後RichardがOriginal Driftersへ行ったために、Winfieldはゴスペルの世界へ入ったとの事です。
Posted by: N | August 08, 2006 10:04 AM