名盤の化粧直し Phillip Mitchell
そりゃいいですよ。以前にIchiban盤を紹介したことがある。その内容も素晴らしいが、こっちも良い。甲乙つけ難い。
Make It Good Prince Phillip Mitchell (Atlantic SD19160) -1978-
高めのテナーで、エモーショナルに歌いあげる。しかも自作曲はどれも抜群。そのなかでも一曲を選ぶなら"Falling From Heaven"、「天使のような君」という意味だろうか。なんと美しい曲だろう。
僕がソウル・ミュージックに求めるものがここにあると言い切ってしまおう。
惜しむらくは時代が既に変わっていた。たとえば、このアルバム一曲めの"Star In The Ghetto"、ゲットーという言葉もだが、フリーソウル調のサウンドはいかにもズレている。このアルバムがリリースされたのが1978年、わずか4年ほどのズレだが、そのくらい60年代から70年代のソウル・ミュージックは激動していた。
だが、それはレコードのセールスについてのこと。僕のようなソウル中毒者には、古いどころか永遠に「今」のまん真ん中の音楽だ。
今日はこの名盤をデジタル化したのだが、残念なことに僕の持っているLPのジャケットの状態が良くない。サンプル盤で、「Not For Sale」のスタンプが押されているし、DJ用に曲目のシールがべったりと貼られている。苦心してこのシールを剥がしたのだが、跡がしっかり残ったし、ところどころ破れてしまった。
この状態では可愛そうすぎる。この名盤にふさわしい綺麗なCDジャケットを作ってやる。
まずスキャナでパーツパーツを取り込む。その状態は例えばこんなもの(※画像をクリックすると拡大します)

次の取り込みデータがシール跡の損傷が激しい部分。

修正はすべてPhotoshopで行う。
Photoshopは高価なソフトだが、機能が多いということよりインターフェイスが洗練されている。PCでデジカメや画像を取り扱うなら絶対に回収できるソフトだと思う。せっかくのその素晴らしさに足かせをはめたエレメントなどという廉価版で満足せず、持っていない人は入手しましょう。ただし十分なメモリが必須、さらにセカンダリのHDDを増設しておくことが望ましい(仮想メモリとしてHDDを使うが、これはPhotoshop本体のあるHDDとは別のものであることを推奨している)。
レイヤー機能を使い、主にスタンプツールで損傷を修正し、合体させる。
ここまでで下のような感じ。

ここからが化粧直し。
そもそもLPジャケットの色が褪色しているので、やや強めに色を出してやる。写真の汚れの修正については時としてはオリジナルが持っている傷でも治す。
こうして完成したのが今日の最初の画像、マウスクリックして拡大し比べてみてください。
あとはPhotoshopと同じAdobe社のIllustrator上で、このジャケット画像をレイアウトし、文字を入れてCDジャケットを作る。
Illustratorも必須。なにより速度が速く、さくさくと動く。基本的な描画をベジュ曲線という計算式(つまりPCが最も得意な方法)で行っていることと、画像データを貼り付けることをせず、一種のサムネイルを置くだけだからで、一度この快適さを体験すると、たとえばWordやExcel上に画像を貼るような愚挙には戻れない。Adobe社が、無理矢理金に物を言わせAldus社から奪いとったソフトだけのことはある。
というわけで神棚に置いても恥ずかしくない、プリンス・フィリップ・ミッチェル様の自家製CDのできあがり。
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Comments
私はLP時代が長いせいかそれとも飽きやすいせいか、アルバム単位でなく片面単位(30分程度)しか集中力が持たなかったりします。だからA〜B面通して聞く事はあまり無かったですね。そんな訳でこのアルバムのA面が良いとか悪いとかでした。だから片面が良ければ名盤、1枚丸ごと良いと大名盤でした。
そんな訳でアルバム単位で考えられない私にとっては「そこまでしてCDジャケットを作るか?」と、思いっきり引いちゃいましたが.......(笑)
実は1〜2度試した覚えが有ったりします。しかしスキャナのサイズを超えると段差が有って部分的に奥行きが出てしまう事から完璧症の私としてはそこで断念しました。ひょっとして最近のPhotoshopでは補正出来るのかな?
Posted by: アドヒスタ/Adhista | September 22, 2006 08:03 PM
>そこまでしてCDジャケットを作るか?
ふふふ。
これは「盆栽いじり」のような、内にこもる楽しみです。
小学生の頃、プラモデル作りに夢中だったんですが、どうもそのトラウマのような気がします。
CDはプラケースではなく、薄いビニールケースに入れ替えて並べています。
ソロ、グループ、コンピに分け、ソロとグループはアルファベット順。
ここにきちんと収まるのが嬉しい。
あとは壮大な夢があって、もう少しスキャニングした画像が貯まったら、ネット上でソウルのアルバムジャケットのライブラリを作りたいと思っています。
僕だけじゃなくて、ソウル・ファンが集ってジャケット画像を集める。
二次使用はもちろんフリー。
これが実現するとソウル・ファンにとっては便利だと思うんですよね。
(たかが知れた僕ではなく、もっと凄いコレクターが初めてくれたら、すぐにでも協力します!)
Posted by: Sugar Pie Guy | September 22, 2006 11:26 PM
>二次使用はもちろんフリー。
この辺りは気をつけた方が良いかも。
ノートブック用バッテリーの不良(Dell、Apple.IBMの炎上・爆発)問題や、発売前にPS3の値段を下げたりといったことからソニーについては先行きが心配です。iTunesに曲を提供すると云いながら1年経っても提供しないソニー(SMEか?)を筆頭とするJASRAC(お金の亡者)辺りが特に高画質については難癖をつけてきそうな気がする。
>これが実現するとソウル・ファンにとっては便利
特に古めのマニアックなものは探してもなかなか見つかりませんね。ですからBlogの記事にする際には全部写真に撮って提供してます。(著作権問題にも配慮してピンぼけもそのままにしている)
ライブラリ代わりにするなら「よしき」さんのところのsoulbounce wikiがBlogっぽい使い方をしてみえますし、私の所のGolden Age Of Soul Music - livedoor Wikiはディスコグラフィ+リンクで記事はリンク先をどうぞって感じ。
イマイチ理解出来てないのですがwww.flickr.comなんてのが一時話題になってましたが、こう云ったサービスも使えるかも?
Posted by: アドヒスタ/Adhista | September 23, 2006 06:55 AM