タイ・ハンター The Originals
日本のソウル界の底本「US Black Disc Guide」にも彼らの代表作としてこのアルバムが選ばれているが、文中に誤りがあるので指摘しておく。
アルバム"Naturally Together"を前作(4枚目のLP)としているが、アルバムの順番が入れ替わっており、前作は"Definitions"が正しい。それぞれ1970年、1972年の作品である。また、Motown(SOUL)でのアルバムは7枚しか記されていないが8枚あるようだ(桜井さんの「ソウル大辞典vol.3」による)。
なにはともあれ1974年の傑作アルバムを今日はとりあげる。
Game Called Love The Originals (SOUL S6-740S1) -1974-
C.P.スペンサーに代わって、タイ・ハンターが加入している。(後にC.P.はグループに戻り、さらにメンバーは強力になる)
タイ・ハンターは、もともとはオリジナルズの元祖メンバーだった。デビュー以前The Voice Mastersと名乗っていた時期に参加していた。もっとも、その時期のデトロイトR&B(ソウル前夜)は妖怪のように凄いシンガーが跳梁跋扈しており、ジョー・スタッブスが歌っていたこともあったらしいし、タイ・ハンターはデヴィッド・ラフィンやメルヴィン・デイビスをバック・シンガーにリードをとっていた事もあるという。そんな原始のスープ状態から、Motown他のレーベルにそれぞれがグループやソロで巣立っていった---デトロイト・ソウルの神話である。
というわけでモータウンからのデビュー時にはタイはグループを離れており、70年代になるとInvictusのGlass Houseに参加していたのはソウル・ファンならご承知の通り。
※なおタイ・ハンターのソロ時代の曲を含むコンピが昔P-Vineから出ていた。その名も「デトロイト・ソウル・ハンターズ」、素晴らしい名付け。
タイの加入によって、オリジナルズは微妙にスタイルを変えている。くるくると各人がリードを取り合うような複雑なスタイルから、タイをしっかりとメインに据えた曲が多くなっている。
これは74年当時のスウィート・ソウル全盛という時代背景もあるだろう。
もちろん、そうは言っても彼らのスタイルは健在で、コーラス・グループの最もおいしい部分をたっぷりと聴かせてくれる素晴らしいアルバム。
こんなレコードがCD化されていないのはつくづく残念。彼らはもっと高く評価されていいグループだ。
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