寄席気分その3 Chicago Gangsters
いつもながら、訳のわからないというか、狙いをはずしまくったジャケット。裏ジャケットにはギャングとおぼしき男が写っており、その男の影が表ジャケットの左側に伸びているという図。
Life Is Not Easy … Without You Chicago Gangsters (Heat 002)-1979-
プロデュースは前作に続きMac & Mac名義。
ところが演奏しているメンバーにいるMacが前作と異なる。Sam McCantsはいるが、LeroyとJamesがクレジットされておらず、かわりにChris McCantsという名がある。
※1994年に出たMacs & Rumplestiltskin名義のアルバムではChrisとSamの二人がはっきりとジャケットにも写りクレジットもされている。この二人こそがMac & Macなのだろうか。ということは1stのみをLeroyがプロデュースしていたことになるが---
演奏と書いたが、彼らはコーラス・グループではなく、自前で演奏もこなす大人数のVo-Inst系。
ただこのアルバムには妙な謝辞があり、「演奏で助けてもらった」としてTom Tom 84や、ドラマーのフィル・アップチャーチなどシカゴの強者連中の名が書いてある。レコーディングで演奏しているのは、彼らスタジオ・ミュージシャンなのかもしれない。
内容については、いつも通り、良い曲は大変素晴らしく、それ以外もなんとなく聴けてしまう、つまり酒でも飲みながら通して聴くお皿としては最適。
いつもはバラードが良いのだが、今回は珍しく"Wop That Wandy"というファンクが気に入っている。シカゴらしいクールさが漂っていてかっこいい。
バラードは最後の2曲で決まり。特に語りから入る"I feel You When You're Gone"は美しい。
ほかにスティービー・ワンダーの"Sunshine Of My Life"のカバーが入っているが、これが珍奇なサウンドに、猫なで声の歌という気持悪いもの。単につまらないカバーではなく、気持悪さゆえに、つい聴いてしまう---まさに寄席のその他大勢芸人の芸のようだ。
意識はしていないと思うが、こうした狂ったバランス感覚こそ、音楽芸人としての黒人ならではの感覚なんだと思う。
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