最後のレア盤? Billy Butler & Infinity
1万円のお皿を1枚買うお金で、普通のお皿を5枚買うほうが得した気持になる。いや、3枚ですませておけばお小遣いを残しておけるし。
また資料や噂を僕なりに分析した結果、レア盤と言われるものに内容が伴ったものが少ないと思っている。僕の好きなグループ物で言えば、60~80年代のテンプテーションズ、ドラマティックス、デルズの全アルバムを持ってからレア盤の話をして欲しいというのが正直な気持ち。
ただそのなかで、これだけは欲しいと思ってしまったのが今日紹介するビリー・バトラー&インフィニティ。
大阪のソウル・ファンジン「Soul To Soul」のグループ特集で「とにかく何も言わず聴いてほしい」みたいなことが書いてあって、僕のなかで憧れが高まっていった。
※ちょっとここで「お断り」。マニアの方のなかには、こんなレコード、レアのうちに入らないという猛者もいらっしゃると思う。でも僕には現在の価格で5桁に達する、これは充分レア盤なんです。
Hung Up On You Billy Butler & Infinity (PridePRD-0018) -1973-
ビリー・バトラーはシカゴのジェリー・バトラーの弟。エンチャンターズ名義のものを含め、これがアルバムとしては2枚目となる。折からのスウィート・グループの流行に乗ったもので、スウィート・ソウルを聴くのなら、まずは定番とされているもの。
悩んだ揚げ句、こいつだけは買おうと思った。
「お前が俺の最後の女」という台詞があるが、「お前が俺の最後のレア盤」という意気込み。これにいくらかのお金を投じたら、以後きれいきっぱり身分不相応なレコードに色気は出すまいと誓った。
ただ、なかなか出会わないんですよね。
結局、いまから10年ほど前、名古屋で開催されたレコード祭りに北陸の通販店が出ていて、そこで発見。盤質はなかなか良く、値段も当方の最悪の思惑よりはかなり安かった。
内容はもちろん良い。
シングルはそんなに高くないので、代表曲をシングルで持っていればそれでいいんじゃないかという気持がしないでもないが(シングルはそれ以前に入手していた)、でもジャケットも雰囲気あるしね。
なんといっても冒頭の"I'm so hung up on you"、そして続く"I don't want to lose you"の甘さは特筆すべきものがあり、このパターンでは"Now you know"もいい。
いっぽうファンク調の"Dip dip, I've got my hands full"は、どこかシカゴに吹く冷たい風を感じさせて気に入っている。
まあ小市民が、たまのハレの日に名だたるフレンチの店を予約してしまったみたいなもんですな。ワイン・リストで一番安いのにしようか、ひとつだけ上のにしようか、本音と見栄の間で迷ってるという感じ。
The comments to this entry are closed.
Comments