さようなら James Brown
149歳(だったっけ?)まで生きると豪語していたが、その半分に足りない急ぎかただった。
2006年12月25日の朝。
そしてその夜。いまネット上では皆がJBに哀悼を捧げている。
冷めた言い方をすれば彼は既に残すべき音楽を残し終えている。まだこれからがあったマービンやルーサーとは違う。そういう意味では幸せだったと思う。お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。
このブログは極めて私的なものなので今日も僕の思い出に浸る。
僕がソウルを聴き始めた頃のこと。とにかく先達のお勧めしているものを聴いた。サム・クック、オーティス・レディング----当時の耳ではその真価がどこまでわかっていたのか赤面だが、どこが聴きどころなのかわかるような気がした。
しかしJBは違った。
一番最初に買ったのは日本盤のベスト。期待して針を落としたが、出てきた音はまったくチンプンカンプン。ソウルとはメロウなメロディだと思い込んでいたのが、その期待のメロディがない。うるさいだけの騒音。
なにせウブだった。"Papa Gat A Brand New Bag"のタイトルから「パパが新しい鞄を買った?なんじゃ、それ」と思ったくらい。
よくわからないままに次に買ったのが、当時の新譜だったこのアルバム。
People James Brown (Polydor 16258)-1980-
振り返ればJBの人気という点では一番低迷していた時代。その頃、一世を風靡していたディスコ・サウンドを意識したもので、JBならではの確固たるスタイルがない。現在では、あまり話題にならないアルバムだろう。
だが、そのマイルド・ブレンドがその頃の僕には丁度良かった。
わかったんですね。JBの良さが。
まずは彼のリズムよりも、歌にしびれた。塩辛いような哀愁を帯びた声、しかし感傷には陥らない。
いったんそれに惹かれると、すぐにJBが身体に入ってきた。先に買ったベストも聴きなおして、はまってしまう。しばらくはJBを聴かないと一日が終われない日々が続いた。"Papa Gat A Brand New Bag"?、そんなの「お父さんが、また新しい女を作った」に決まってるじゃない。
JBがわかった、ということが僕にとってのソウル・ミュージック・スクールの入学式のようなものだったと思っている。そして、いまだに卒業の見込みはない。
2006年12月25日、いやもう日は変わり26日。久しぶりに僕はこのアルバムを聴いている。
どうしても今日はこのアルバムを聴かなければいけない気がしたのだ。
【ストリーミング配信】"People"より"That's Sweet Music"をお聴きください。(要RealPlayer)
それにしてもこの曲のタイトルが切ないねぇ。
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