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青島幸男 没

Aoshimayukio 青島幸男が死んだ。74歳。まさか彼がこんなに早く死ぬとは思わなかった。

 僕にとって青島幸男は「天才」である。

 ただし天はすべての才能を一人の人間に与えはしない。世代的にも戦後民主主義の負の部分を持つところがあり、政治に関わることで、その悪い部分がもろに出てしまったように思う。
 昭和の他の天才、手塚治虫が漫画だけにとどまらずアニメに手を出してしまった。あるいは美空ひばりが演歌という架空のジャンルに身をすくわれてしまった---そういう例と同じだと思う。

 政治に関わるという道を選び、しかも後戻りしなかったという点では駄目な男だったが、しかし彼は天才だった。

 僕がクレイジーキャッツのレコードを集めたのは1980年代前半、もちろんクレイジーの全盛期から10年が過ぎ、中古レコードならば数百円で手に入った時代。
 一枚一枚と手に入れるたびに、楽曲にもシビれたが、凄すぎる歌詞に仰天した。詩とはここまで人を動かすものなのか、と僕の一生の生き方を変えるだけのパワーを持ったことに今でも驚きを感じている。
 そして、もちろんその作詞をしているのが青島だった。

 青島の天才を示す例は多いが、ここでは「ゴマすり行進曲」を取り上げてみよう。


ゴマをすりましょ みんなでゴマをね (ア、スレスレ)
ゴマをするにも命がけ
思いつくまま、気の向くままに

 「ゴマをするにも命がけ」と必死を訴えながら、しかしその命がけとは「思いつくまま、気の向くままに」なのだ。
 この落差!
 しかし、これが一般的な社会そのものではないか。

 「今月の会社の業績目標を達成しよう!」「オーッツ!」とかけ声をかえるだけ、あとは適当にお得意先でもまわってくるかという、平均的サラリーマンの日常=平均的日本人の生き方ではないか。
 だからこそ、単なるコミックを超えた諧謔が心を打つのだ。

 「ゴマすり行進曲」にはこんな歌詞もある。


朝も早よから 夜中まで
身震いするよな うまいこと言おう

 「身震いするようなうまいこと」、こんな歌詞は普通できない。
 まさに言の葉(ことのは)は天地(あめつち)をも動かす、と紀貫之が表した日本の歌がここにある。

 平安の煌めく宮中歌人に互する天才、ここに没す。

 どう、冥界で身震いしてませんか?青島さん。

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Comments

当然といえば、当然なんだけど、いまの20代、30代の人には青島幸男の天才度はわからないだろうね~。

Posted by: masato | December 22, 2006 at 11:22 AM

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