ソウルの素養 James Brown
「ブルース&ソウル・マガジン」の次号(2/24発売)で特集するほか、BMR誌でもJBとファンクの特集をやるそうだ。
会社近くの本屋に行ったら、10数年前に出た自伝が文庫本になって縦積みされていた。そんなに売れるとは思えないんだが、よい機会なので購入。
おもしろくて一気に読み終えた。
ただしBlack Musicについての素養がないと少々きついと思う。
たとえば次のようなエピソードがある。
チェスのオーナーのレーナード・チェスがJBと契約しようと飛行機をブッキングしたが、積雪のために便が遅れ、その間にキングのシド・ネイサンと先に契約してしまった。
この話自体、JBが例の調子で語ることだから眉に唾つけて読むべきなのだが、話半分としても、もしチェスと契約していれば、その後のソウルの歴史はどうなったろうか、と楽しむにはチェスとキングのそれぞれの音やプロモーションやアーティスト達を知っていなければならない。
さらに、チタリン・サーキットで競演した様々なシンガーについて、JBは語っているが、それが素晴らしく興味深い。ジョー・テックスやリトル・ウィリー・ジョン、ハンク・バラードといった人達がどんなエンターテインメントをしていたのか。
特にむむっと思ったのはThe Vibrationsについて、JBが率いるフェイマス・フレイムスがびびるくらいの熱いステージをやっていたという回想。あのJBがそう言うくらいだから(笑)、このグループのレコーディング上の不運がしのばれてしまう。
大きなことを書いたが、僕にしても充分な読者には達していない。ヘンリー・ストーンの名が2回(デビュー直後と、70年代と)出てくるが、この人の名が印象深いのは一昨年あたり前から出ているCDに名が冠してあるからで、それまでは知らなかった。
きっと10年度に再読したら、さらに興味が増していることだろう。
だが一番知っておくべき素養というか常識はJBの人柄。
相当苦労して聞き出している(自伝と表現したが、聞き語りである)とは思うが、二三割は怪しいと思ったほうがいいだろう。
一番傑作だったのは、税金の未払いで国税局から追徴されたときの言いぐさ。
自分は小学校に一時期通っただけだ。国からなにもしてもらわず社会に放り出された。税金を支払うのは学校を出た人だけのはずだ----と、意見というより勝手に断定しちゃってる。
さすがJB!
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