謎の音源 Whatnauts
この時期、僕の記憶では先に海の向こうで、エボニーズとソウル・ジェネレーションがリリースされ、その版権をP-Vineが得て、さらにこのホワットノウツとダイナミック・スペリオアーズが出た。(僕の思い違いで、ホワットノウツたちも先に向こうでリリースされていたのかもしれないが)
この4枚のなかで、抜群に内容が良いのがこのホワットノウツなんだが、しかし謎が多い。
Corruption Whatnauts (P-Vine PCD-24136)
音源を出してきたのはトニー・キャメロ。ベンチャー・レーベルのオーナーだった男。
抜群に内容が良いと記したが、それもその筈、ホワットノウツがStangを離れたから録音を残したGSFでのシングルを含んでいるし、すべてその時期の録音だと思われる。これは悪かろうはずがない。
まず最初の謎は、すべての曲のライター・クレジットがトニー・キャメロになっていること。そんなことがあるわけがない。GSFのシングルにはちゃんとクレジットがあり、甘茶職人たち(ジョージ・カー、ポインデクスター兄弟他)の名が記されている。スウィート・ソウル・ファンには先刻お馴染みの曲調であり、これがディスコかぶれ(失礼)のトニー・キャメロの筈がない。
これだけだったら、版権関係がいい加減で「言った者の勝ち」という、ブラック・ミュージックにはありがちな話なのだが、収録されているシングルのトラックダウンが異なっている。具体的には4曲含まれているシングル曲がそれぞれエンディング部のフェードアウトが長いのだ。5秒とか10秒じゃない、曲よっては50秒も長い。
さらに未発表曲も粒が揃っている。おそらくこれはGSFで出るべきアルバムの録音で、そのマスターの権利をちゃんとトニー・キャメロが持っているということ。ライター・クレジットも詐欺ではなく、トニーがお金でクレジットごと買ったのかもしれない(70年代ソウルではあり得そうな話)。
スウィート系のグループというのは星の数ほどいるが、このホワットノウツは最右翼の一つ。あまりに悶々と激しくむせび泣くかのようなシンギングは、おいそれと聴くことはできないほど。ちょいとBGMに、などという情緒的なリスニングを否定している。
ポピュラー音楽としての本末を転倒しているような作りなのだが、それにハマると抜けられない。だからソウル・ファンを続けているんだよね~というわけで、スウィート好きであれば絶対に避けられない2004年リリースの珍盤。
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Comments
やっと出してくれましたね! Whatnauts,,,
これは70sの録音ですか? 場所はNJ?
ついでにDynamic Superiorsのほうも頼んます。
Posted by: frisco | February 11, 2007 04:19 PM