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そんなに悪い? Four Tops

Fourtops_nightlights フォー・トップスについて書かれた文章でABC/Dunhill時代を褒めたものに出会ったことがない。

 たとえばこんな文脈だ。
 「60年代のフォー・トップスはH-D-Hの最も良い表現者でありモータウンを代表する録音を残した。しかし70年代に入りABC/ダンヒルに移籍して失速。81年のカサブランカ録音でようやく復活する----」
 こうしたコメントは彼らの実力を高く評価しているからにほかならないのだけれど、70年代のコーラス・グループとして公平に評価した場合、やはり抜きんでていることは間違いないと思う。

 いや本音を言うと、あまりに個性が強いモータウンの全盛期より、気軽に聴くことができるという点で、僕はこの時代の彼らを積極的に「好き」なのだ。
 白人がプロデュースしているのだが、だからといって悪いと思いこむのは早計だ。

 というわけで今日は彼らの76年のアルバムを取り上げる。

Night Lights Harmony Four Tops (ABC YQ-8013-AB)-1976-

 僕が持っているのは日本盤のLP。邦題は「夜のハーモニー」。
 解説を桜井ユタカさんが書いていて、例によって酷評に近い。依頼されたライナーでも正直な感想を書くことについては頭が下がるが、しかし僕はそんなに悪いとは思えないんですがね。

 ちょいと引用してみよう。

 (ABC/ダンヒルに移籍してからは=僕の注)すくなくとも"I Can't Help Myself"や"Reach Out I'll Be There"で、彼らのファンになった者にとっては、何とも歯ごたえのないこの2~3年の彼らでした。
(中略)
 これを機会に、フォー・トップスは、デトロイトが生んだ黒人グループの伝統と誇りを再び、自分たちのサウンドの中によみがえらせてほしいですねェ。
 20年のキャリアをさらに生かして、あと10年トップ・クラスとして活躍していくためには、その手が一番です。シカゴのデルズを少し意識してほしいですねェ。
(中略)
 フィフス・ディメンションのような、もう本当にどうということないような黒人グループ、つまり、白人の大人たちが食事したり酒のんだりしているレストランやホテルのラウンジ専門のエンターテイナーになるんだったら、話は別ですが----。その時は、もうぼくは、フォー・トップスの名前を口にすることも、新しいレコードを聞くこともやめましょう。

 ひどい(笑)。フィフス・ディメンションが好き(それは確かにソウルのグループとしては聴いていないかもしれないが)な僕としては苦笑するしかない。

 百読は一聴に如かず。このLPの曲をストリーミング配信してみるので、皆さんの耳でご判断いただきたい。例によって一ヶ月程度でデータを落とすのでお早めに。またReal Audioプレイヤーがないと聴けないので、無償版をインストールしてください。

 まずはA-1の"Seven Lonely Nights"。これは僕の20年越しの愛聴曲。

 ノーザン・ダンサーとしては、こいつも良い"I've Got What You Need"

 彼らの持ち味は出ていないし、傑作とはとても呼べないが、スウィート・ソウルとして聴けば、かなり良いと思うのが"We All Gotta Stick Together"

 どうです。そんなに悪いですか?


追記
 下のコメントをお読みいただくとわかるのだが、adhistaさんから"I've Got What You Need"はBrothers By Choiceの曲と同じだとご指摘を頂いた。
 いやぁ、ほんとブログやっててよかった。また一つ賢くなりました。
 御礼(?)がわりに、このLPからもう一曲スト配。「柳の下のドジョウ狙い」大ヒットした"Ain't No Woman"風の曲です。
Mama You're All Right With Me
 以上で4曲紹介したが、このLPの全9曲のうち、ちょっとこれは辛いなと僕が思うのは1曲のみ。フォートップスという大看板ゆえに桜井さんはじめ耳の肥えたソウル・ファンは、もっと高いものを求めていると思うんだけれど、僕には充分。

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Comments

>解説を桜井ユタカさんが書いていて.....
出来が酷すぎて曲毎のレビューを全然書いてないライナーも見かけるのと比べるとまだマシですが、それなら断っても良いのにな〜。

>僕はこの時代の彼らを積極的に「好き」なのだ。
ちょうど時代の変わり目から聞いている私はABC/Dunhill時代の「Ain't No Woman 」がリアルタイムで印象に残っている初めての曲だったりします。
モータウン時代の勢いを感じる曲と異なり、今風に云うと「ちょい悪オヤジ」グループの雰囲気を感じたのかもしれません。
総評すると「好きな店なのだが品揃えが少ない」って感じで積極的とまではいえないが「好き」です。

Posted by: adhista | March 09, 2007 06:26 AM

> adhistaさん
"Ain't No Woman"はいいですよね。数年前にモニファとK-Ciのデュエットでネタ使いしていました。
今回取り上げたLPにも、柳の下狙いの同タイプの"Mama You're All Right With Me"という曲が入っています。
桜井さんについては、ちょっと揶揄した書き方になりましたが、凄い方です。ソウルで飯を喰っていくというのは容易なことではないと推測されます。
解説依頼の選り好みなんかできないと思う。しかし、提灯持ちにはならず自分の思うところを貫く。ディープです。
ただ、生粋のソウル・ファンではなく、つい買ってしまったような音楽ファンは驚くと思いますけどね(笑)。

Posted by: Sugar Pie Guy | March 09, 2007 07:07 AM

We All Gotta Stick Together、未聴でしたが、良いですね。三度繰り返し聴いてたら、気持ちよくて眠くなってしまいました。どうもごちそうさまでした。

Posted by: zouky | March 09, 2007 11:50 PM

zoukyさんにつられて
つい"I've Got What You Need"を聞いてみたら、何処かで聞いた覚えがある。iTunesで曲名順にしたら、あらあら、Brothers By Choiceじゃないですか。
ノーザン・ダンサーらしさは無いので分からなかった。(^^;
出来は遥かにフォー・トップスの方が良いですね。

Posted by: adhista | March 10, 2007 06:48 AM

> adhistaさん
貴重な発見&情報ありがとうございます。
いやぁ、このLP取り上げてよかった!
御礼に(?)、このLPに入っている「柳の下のドジョウ狙い」"Ain't No Woman"風の曲をスト配します。(本文に追加しました)

Posted by: Sugar Pie Guy | March 10, 2007 07:14 AM

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