ソウルの季節か? Donnie Ray
ドニーはこのところ毎年一作のペースで、しかも水準以上の内容のサザン・ソウルを届けてくれる。
Smooth Operator Donnie Ray (ECKO ECD1088)-2007-
Eckoレーベルの先輩格のウィリー・クレイトン路線。つまりタイロン・デイビス調のミディアムが中心ということで、聴きようにによっては、どれもこれも同じ。ただし、いつもそう思って軽視していたものが後で振り返ると大鉱脈だったというのがソウルの歴史(フィリーから、ファンクまで)だからね。
特にドニーの歌は今が盛りというくらい快調。これはいいです。
さて、僕がおやと思ったのは、ブルースが一曲もないこと。この10年ほど、この手のサザン・ソウルは常にブルースとセットだった。(10年どころか、その大本はZ.Z.ヒルまで遡ることができる)
ウィリー・クレイトンだろうが、タイロン・デイビスだろうが、時にはアルバムの半数近くがブルースで、僕にはそれがひどくつまらなく思えた。
言い訳をしておくと、僕はブルースを聴かないわけじゃない。ただ、ソウル寄りのシンガーが、おつきあいのように歌うブルースは緊張感がなくものたりなかったのだ。
ところが、このところそうしたアルバムからブルースの含有率が減っている。そして今回のドニー・レイには一曲もない。
アンソニー・ハミルトンのような若手人気R&Bシンガーの活躍に代表されるように、再びソウルの季節がやってきたのかもしれない。
同時にブルースもすごい新人(年齢ではなくレコーディング上)の名が挙がることも多いし、きちんとシーンとマーケットが分離されてきた----と言えるといいんだけれど。
春の夢か幻か、そんな思いにかられるだけ、ドニー・レイの新作は好調だということだ。
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