これぞレア盤 Burton Inc
それが真なのかどうかはわからないが、レア盤だけをありがたく珍重するソウル・ファンというのは「はしたない」と思う。
ここで言っているのは、価値観の多くが「レアかどうか」に行っている人で、いつも持ち出すことだがテンプス、デルズ、ドラマティックスの全アルバムを聴いていないくせに、レアなグループ物を欲しがるようなタイプだ。
念のために書き添えておくと、テンプス、デルズ、ドラマティックスの全アルバムを揃えるのは並大抵なことではない。それらを先に聴くのが絶対だと言っているのではなく、そういうベーシックな部分ができていないことを恥だと感じる心を持てということ。
ここで文字を大にして色をつけて言っておく。
レア盤=当のミュージシャン本人は全く望んでいないのに偏狭なマニアが望む需給状態
さて、長い前置きを置いて、今日取り上げるのはバートン・インク。
「USブラックディスクガイド」のレア盤コーナーでドクター高沢さんが取り上げた一枚だが、いかにも三流のジャケットからしてまったく食指が伸びなかった。
それがP-VineからCD化。適価で買えるなら聴いておくかと入手してびっくりした。これは良い。こんなに内容の良いレア盤は珍しいと思うくらいにいい。
L.A. Will Make You Pay $$$ Burton Inc. (P-Vine PCD-23840)
※レコード番号は再発盤。オリジナルは1974
バートンインクの実態はオクラホマのバートン夫妻らしいが奥方バーバラ・バートンの歌は芯が一本通っている。そして演奏、アレンジ、録音にいささかのチープさもない。良質のソウルだ。
まったくセールスに結びつかなかったマイナーなレコードでさえこれだけの内容を持っている、ソウルとはなんと充実した音楽であったことよ、と感嘆する内容。
軽快なミディアム・ダンサー"You Know I Love You"、キャッチーなファンク(レコードの流通からすれば決してキャッチーじゃなかったんだが)"L.A. Will Make You Pay"なども快調。
普通に買えるCDとしてなら是非入手されることをお奨めする。
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