ソウルNo.1アルバム Spinners
それがこのスピナーズのAtlanticでの1stアルバム。日本盤は「スピナーズ登場」というタイトルだったと記憶している。
といっても発表年(1973)じゃない。1981年だったと思う。既にソウルの時代は終わったあと。
正直言うと、中学から高校の頃はソウルを馬鹿にしていた。ディスコだというイメージしかなかったし、男が裏声で歌うのが気色悪かった。それが現在は、ソウル以外は聴かない、裏声大好きなのだからおもしろい。
そのきっかけになった一枚というわけ。
The Spinners The Spinners (Rhino R2 71882)-1973- ※番号は再発CDのもの。オリジナルLPはAtlantic 7256
なにしろ、ソウルはこの一枚しか持っていなかった時期があった(すぐにばんばんと買い足していったのだが)から、ある意味で僕のソウルNo.1アルバムと言うことができる。
しかし内容は充分に素晴らしい。リードはG.C.キャメロンからフィリップ・ウィンにバトンタッチ。彼の甘い声がトム・ベル制作のフィリー・サウンドにぴったりとはまった。
このアルバムには"I'll Be Around"、"Could It Be I'm Falling In Love"という二大名曲が含まれている。後者の邦題は「フィラデルフィアから愛をこめて」という珍妙なものだったが、スピナーズについてわかっている人による命名だろう。
ところでこの二大名曲には謎がある。このことを指摘している文章に接したことがないので、とっくに解決済みなのかもしれないが。 "I'll Be Around"は疑い半分だが、"Could It Be I'm Falling In Love"についてはほぼ間違いなく、これはスピナーズによる歌ではなく、フィリップ・ウィンのソロ+女性コーラスだと思う。
そのほかの曲でも、極端にスピナーズのコーラスが少ない曲がいくつかある。
想像をたくましくすれば、フィリップ・ウィンだけの録音が大半で、そのうちのいくらかには後付でメンバーのコーラスを入れたということじゃないのか。 それはトム・ベルの選択なのか、当時のスピナーズの事情によるものなのか---推測に夢想を重ねるってのはソウル・ファンの性ですな(笑)。
ところで、僕がこのアルバムを手に入れてしばらくしてから。山下達郎がラジオ・プログラムのなかでこのアルバムのなかの"Ghetto Child"をオンエアした。知らない曲ばかりがかかるのが殆どだったから、知っているものがかかるのが嬉しかった。僕の同世代ではそうしてソウル・ファンとして成長していった人は多いだろう。 ただし"Ghetto Child"のあまりにもストレートなフレーズ「ゲットーで子供が生きていくのは容易じゃない」は本当に黒人たちに機能したのだろうか。愛と平和を希求したギャンブル=ハフには夢があったが、この曲の美しさは空疎な危険もはらんでいるように思えてならない。
今日は、推測憶測妄想の内容になった。そのくらい長い間聴いてきたレコードってことでご勘弁願いたい。
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Comments
自己コメント。
ネットオークションで、このCDを見つけ、無性に聴きたくなって落札した。
オリジナルLPは実家に置いてあり手元にないので。
そうしたら出品者の方はこの「ソウル一日一枚」をご覧になって頂いている方だった。
ソウル・ファンの世界は案外と狭い。
悪いことはできないですよ、皆さん。
Posted by: Sugar Pie Guy | November 19, 2007 07:30 AM
>ソウル・ファンの世界は案外と狭い
まさにその通り。
7inchのSetSaleのリストでせめぎ合ってた方ばかり(w)
Posted by: kazzz3 | November 19, 2007 07:17 PM