無理してみました(笑) Rogana Story
最近出たコンピがそのストーリーとなっているのだが、アール・ゲインズや、ゲイトマウス・ブラウンという知った名がある一方、CDジャケットにはエクセロやジュウエルのレコードが写っている。一体、これはなんなんだ。
The Rogana Story: Hossman's Blues various (SPV 49792 CD)
ブックレットを読みはじめたのだが、そんなに長くはないし、日本語に訳す気になった。気の迷いというやつで、短いながら一時間ほどかかってしまい後悔している(笑)。
せっかくなので全訳を掲載する。ふ~疲れた。
1960年代、ウィリアム"ホス"アレン(William "Hoss" Allen)はR&B界で最も精力的に働いた一人だった。 彼はナシュビルで一番高出力でクリアな音質を誇ったWLACラジオでDJを務め、レコード・レーベルのオーナーであり、また販促マンだった。
彼の最初の仕事は1950年代、彼のレーベルAthenaを興したことだったが、厳しい業界でこのレーベルは短命に終わり、60年代に入る頃にはシカゴのChessの仕事をしていた。 しかしほどなくしてまたナッシュビルに戻りWLACのDJの仕事に復帰、1965年にはHermitageというレーベルを作り、さらにRoganaプロダクションを興した。Roganaはホスが他のレコード会社へ音源を提供するための会社で、Hermitageの録音より多岐に渡った。
ホスはStarday/Kingが持つナッシュビルのDickerson Roadスタジオを借り、そのスタジオお抱えバンドだったJohnny Jonesが率いるImperial Sevenをバックにセッションを毎週末に行った。このバンドはナッシュビルのR&Bシーンにおける精鋭で、Johnny Jonesがギター、ベースはBilly Cox、ドラムがFreeman Brown、ホーンがHarrison CallowayとAron Varnell、Larry Leeがリズム・ギターを受け持ち、これにSkippy BrooksやRay Valentineらのキーボードが加わっていた。
ホスはミュージシャンやシンガーを見つけてきては、このメンバーに引き合わせ、StardayスタジオでFrank HowardやDottie Clarkのレコーディングを行った。
Frank Howardの"Smokey Places"はExcelloからリリースされた。Dottie ClarkはJohnny Jonesのギターが素晴らしい"All Woman"を残しただけだが、素晴らしいシンガーだった。
Johnny JonesのギターはSam Bakerのデビュー曲であるミシシッピはジャクソン(Sam Bakerの出身地だ)のCopaから出た"Crazy About You Baby"でも聴くことができる。
Sam BakerはホスのHermitageからも何枚もシングルを出している。
John RichbourgのSound Stage 7から出た"Once Upon A Time"は、それ以前にHitそしてカナダのStarlightからリリースされたものだった。
ホスはブルースが好きでDickerson RoadスタジオでJohnny Copelandを録音した。それは短期の活動に終わったBraggからリリースされた。
Jimmy Stuartは60年代中頃にB.B Kingのバックでトランペットを吹いたこともあるが、よりダウンホーム・ブルースをハープで吹くことも好みはStarday/King傘下のHollywoodから"Mr. Boosard"がリリースされたが、より上品な彼のホーンはJimmy ReedやFrank Frostといったブルースのバックで聴くことができる。また彼は、彼の妻が持つレーベルK&JとJ&Jにも録音を残している。 さらにJimmy Stuartはエルビスのバックのギターで知られるScotty Mooreと組んで録音を残している。その第一作はMartin Luther Kingに捧げた"He Went To The Mountain Top"であり、その次にはEarl GainesがOtis Reddingに捧げた歌のバックをつけた。
ホスは新たなサウンドを求めアラバマのMuscle ShoalsのFameにもミュージシャンを連れて行った。そのスタジオの若い白人たちが作る音に惹かれたのだ。
Rodge MartinはこのFameで録音されたものだ。Rodge MartinはJimmy Churchのバンドで歌っていた男で、Rogana以前にはJohn RichbourgのRichに録音を残している。 ホスはRodge Martinが心臓麻痺で67年に不慮の死をとげる直前までこの素晴らしいシンガーに録音させていた。
ホスはまたアラバマでArt Graysonを見出しFameで録音させているが、FameのミュージシャンではなくArt Grayson自身のバンドのバックをつけさせた。 一方でLucille MathisのバックはFameスタジオの面々がつけている。
Dottie Clarkは素晴らしいシンガーだがたった一回しか吹き込みをしていない。それはExcelloで2枚のシングルとして残っている。
ホスは、ミシシッピ出身のTiny WatkinsもFameで録音している。4枚のシングルが残っているが、そのうちの2枚はExcelloから発売されたものだ。
1966年ホスは幅広い録音を行い、また全国ネットのTVショウ「The Beat」のホストを務めるようになった。 この「The Beat」は初の全国放送される黒人音楽のプログラムであり、この番組での演奏のバックはJohnny Jones率いるImperial Sevenが「The Beat Boys」という名で務め、Frank Howard and the Commandersがレギュラー出演者として歌ったほか、多くの黒人を紹介した。 この番組は2シーズンしか続かず26回の放映があっただけだが大きな影響を後世に残した。 特に最初のシーズンはClarence "Gatemouth" Brownがバンド・リーダーを務め、Johnny JonesがArt Grayson、Earl Gaines、Jimmy Churchと共に第2シーズンを受け持った。
Johnny JonesとBeat BoysはHollywoodに "Finger Lickin"を録音している。興味深いことに、この録音でオルガンのように響くのはナッシュビル伝統のペダル・スチール・ギターでPete Drakeが弾いているものだ。 Gatemouth BrownもJohnny Jonesと一緒にナッシュビルで録音を残し、Hermitageほかから発売された。彼の"Have You Ever Been Mistreated"はHitから出され、その後シカゴのChessに売られた。
Roganaに関わったシンガーの殆どは1960年代のR&Bシーンでは無名と言ってよかったが、Earl Gainesのように幾多のレーベルからリリースされR&B界に高く名を残した者もいる。
1970年代になりディスコが一世を風靡するようになると、流行遅れとなった古くからのソウル・ミュージックのインディ・レーベルの存続は困難になった。
1972年、ホスはナッシュビルのCreative WorkshopでDee Brownを録音し、このうち2曲がシェリブポートのJewelから発売されたが、これを最後にホスはついにレコーディングの仕事から身を退く。 それでもWLACラジオには残り90年代はじめまでゴスペル番組のホストを務めたが、このラジオ局もこうしたR&B/ゴスペルから手を引くことになり、この世界における彼の活動も終わった。
ホスは1997年に没するが 、彼の残した遺産はR&Bの歴史から消えることはない。R&Bという音楽は彼の存在によって豊かなものになったのだ。
Fred James (訳:Sugar Pie Guy 2008/1/19)
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Comments
今後とも是非気を迷わせてください。
助かるわ~
(最近細かい字が読みづらくて、、、)
Posted by: frisco | January 20, 2008 07:39 PM
訳してみたものの気になるところがあります。
ゲイトマウス・ブラウンの曲がChessに売られたという記述があるのですが、Chess/Checkerからゲイトマウスの録音って出ているんですかねぇ?
Posted by: Sugar Pie Guy | January 20, 2008 07:52 PM
P-VineからLPでりイシューされています。
洒脱なジャイブ風ナンバーが入っていて当時話題になりました。とくに吾妻さんが盛り上がってましたね。
一応持ってます。
Posted by: frisco | January 21, 2008 03:37 PM
Have You Ever Been Mistreatedは何故か収録されていませんでした、、、
そのかわりかどうかMay The Bird Of Paradise Fly Up Your Noseがダウンホームバージョンとカントリーバージョンが収録されています。
Posted by: frisco | January 21, 2008 04:07 PM