ダウンホーム Z.Z.Hill
コロムビア時代と比べて緊張感が足りないという批判を僕自身も持っているが、しかし「時代」に与えたインパクトにおいては比較にならないほどこのマラコ時代が大きい。
Best Of Z.Z.Hill On Malaco Z.Z. Hill (Victor VDP-5161)
Z.Z.ヒルと、さらに言えばデニス・ラサールによって80年代マラコは輝き、だからこそ昨日のボビー・ブランドがある。クラレンス・カーターしかり、ジョニー・テイラーしかり。
しかしいっぽうで「ブルーズン・ソウル」という弛緩した、正直なところ十中八九はおもしろくもおかしくもない音楽が蔓延したのも彼に端を発している。
ただし、「おもしろくもおかしくもない」と感じるのは、失われた70年代サザン・ソウルの亡霊にとりつかれた偏執的ソウル・ファンの弊だろう。
気がつけば四半世紀、南部においてブルーズン・ソウルは黒人たちに機能し続けた。
評論はさておき、僕にとってのマラコのZ.Z.ヒルの二大名曲をあげておく。バラードでは"Please Don't Make Me"、ミディアムでは"Cheating In The Next Room"。
後者は同時代にオーティス・クレイの秀逸なカバーがある。そしてジェシ・ジェイムス版も。あの頃、僕はそれらを交互をターンテーブルに載せ、ため息をついたものだ。
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