夢のかたち Gerald Alston
だが夢には望んでも叶わぬものと、形だけならできるものがある。
いつかひとつ小説を書いてみたい、という夢があるとする。この夢を形だけ実現するのは簡単だ。原稿用紙数枚の私小説風とかショートショートを書けばいい。
「自分が満足するような」という形容が伴うことで、これは夢になる。
ジェラルド・アルストンというシンガーにとってサム・クックのカバー集を作るというのはこの類ではないかと思う。
彼ほどのシンガーならいつだって形にはできる。
だが、それを作品として残すとなれば、いかほどの決意がいることだろう。二度はないのだ。
Sings Sam Cooke Gerald Alston (Love Song Touring 0193)-2008-
ジェラルドの声は決して衰えていない。丁寧に愛情を込めて歌われたサム・クック集、これは良いね---というだけで、すませられない。
ライナーで、ジェラルドはさらりとだがこう書いている。
To Al Goodman a True friend who helped this project,my life's dream come true.
アル・グッドマン(もちろんモーメンツ~R,G&Bのメンバーの彼、先日のマンハッタンズのライブの後、あのアルだよねと直にジェラルドに問いただした)はこのアルバムのプロデューサーをやっているが、彼がジェラルドに踏ん切りをつけさせたのかもしれない。
夢をかなえるときは今だと。
録音はニュー・ジャージー。サックスにジェフ・アルブライト、ギター(一部だが)にイーバン・ブラウン。歌うのはジェラルド、歌われるのはサム・クック。
僕はここにあげた土地や人名に心を動かされずにはいられない。
ソウル・ミュージックはサムからはじまった。
それを受け継ぐジェラルド・アルストンというシンガーはこれからどこへ向かうのか。
夢の彼方にさらなる夢があるのだと信じたい。
The comments to this entry are closed.
Comments
超遅すぎレスですが、、、
最近、HMVで日本盤レコの2割引をしてたので、フラッと眺めていたら、何とManhattansのコロンビア3枚目
つまりKiss & Say Goodbyeのやつ! を発見したのです。
全然知りませんでしたアレが日本盤でリイシューされていたなんて、、、
あわててゲットしましたが、知ってました?
Posted by: frisco | September 14, 2008 10:01 PM
friscoさん
そう言われてみれば、たしかSONYのソウル名盤シリーズのカタログで見たような気がします。
Posted by: Sugar Pie Guy | October 06, 2008 01:21 AM