08年ベスト・ルーキー Leonald Julien III
しかし、そのなかで断トツだと感じたのがインディのレオナルド・ジュリアンIII
Reflections Of Soul Leonald Julien III (LoveHijacker 001) -2007-
リリースは07年のようだが、国内に出回ったのは08年の初夏。
新宿やお茶の水でソウル専門店を出している某専門店の無料ブックレットでその存在は知っていたのが、実際に聴いたのは夏に訪れた京都のソウルバー「QJ's Bar」。CDをまるごと一枚頭から聴いたのだが、とにかく歌のうまさに驚いた。
スタイルとしては80年代末期のブラコンのようなのだが、歌の技巧が並はずれている。
ルーサー・ヴァンドロス、カーティス・ヘアストンといったシンガーと同格、いやグレン・ジョーンズと比較させようか、少なくともフレディ・ジャクソンよりは巧いと思う。
(誤解されるといけないので補足しておくが、歌の巧さの優劣がシンガーとしての魅力のすべてではない。フレディ・ジャクソンが駄目だという気は毛頭ない)
聴くは試し、一曲紹介しておこう。
I Wanna Get Close To You / Leonald Julien III
ポップな曲だが、この歌いまわしはどうだ。軽く歌いだして、だんだんと熱を入れていく。ファルセットやシャウトを軽くアクセントにして、まさに「みんなこんなソウルが聴きたいんだろう」と言わんばかり。こしゃくだ。
さらに、曲によって微妙に歌いかたを変えてくる。どディープなサザン・ソウルだってこの男なら歌えてしまうだろう。
だがいっぽうでそれが脆さでもあるのかもしれない。少なくともこのデビュー・アルバムでは、どディープな歌はない。
これだけのシンガーであるなら、なんとしても録音を重ね、スムーズな衣装の奥にあるソウルをさらけ出していただきたい。
10年後に「あんな素晴らしいシンガーもいたよな」とソウル・ファンの懐古談のネタにならないことを切に祈る。
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