三越伊勢丹グループ その2
三越の社歌である。ただしレコードには「新社歌」と但し書きがあるから、おそらくは旧社歌もあったのだろう。
先の伊勢丹労働組合歌が廉価な片面33回転ソノシートだったのに対し、こちらは立派な体裁のダブルジャケットに入った45回転シングル。
若い生命 / メインストリート 藤山一郎・櫻井繁子 (日本コロムビア 7374)
発行年だが、記載されている文章に「今からちょうど二十年前、昭和27年に~」とあるから、昭和47年(1972年)の録音だと思われる。
この年は有名な岡田茂が三越の社長となった年。
岡田茂は前回に少し触れた1953年の三越労働争議で名を挙げ、また三越の銀座店店長時代には今も続く日曜遊歩道「歩行者天国」を地域をとりまとめてスタートさせたり、マクドナルドの日本一号店を同銀座店にオープンさせたりと派手な人脈(マクドナルドの藤田田は岡田茂の弟分だったそうだ)と話題作りで名を売った人物。
おそらくはその岡田の指示もあったのだろう。実に内容の濃い社歌である。
作詞は藤浦洸。淡谷のり子の「別れのブルース」、美空ひばりの「河童ブギウギ」(デビュー曲にして僕の大好きな歌)、「東京キッド」などの詞で知られている。
またCMソングとして「キンカン塗って、また塗って」という金冠堂の歌詞を書いているが、このCMの作曲は昨日取り上げた伊勢丹労働組合歌を書いた服部正で、こんなところに三越と伊勢丹のつながりを発見(これをつながりと呼ぶのは苦しいが)。
作曲は古関裕而。戦前戦後の多くの名曲で知られるが、ザ・ピーナッツが「モスラ~や、モスラ~」と歌った「モスラの歌」はこの人が書いた曲。
そして歌は藤山一郎。従四位を追贈された叙勲歌手である。
岡田茂肝いりの華麗なスタッフによる見事な楽曲。音源をアップするのでぜひお聴きいただきたい。
サーバ容量上、しばらくしたら音源を消してしまうので、聴きたい方はお早めに。
レコードB面はこの曲をモチーフとした吹奏楽によるマーチ。社員運動会でさぞや活躍したろうと思われる心地よい出来である。
ところで、このレコードは20年近く探していたものだった。数年前にひょっこりとミント(新品同様)盤を入手。これとどうしても並べておきたいので、昨日書いた通りオークションに出た伊勢丹労働組合歌に高値をビットしてしまった次第。
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