紙ジャケ Full Moon
そもそもCDのプラスティックケースはひどいものだった。
音楽CDの黎明期には汎用のものではなく、それぞれ仕様の凝ったケースだったのだが、すぐにコストがあわなくなり市販CDも汎用ケースを使うようになった。
今でもおなじみの、CDトレイ面と透明なジャケット部分が別なプラスティックで作られており組み合わせるもの。
このケースが駄目なのは、まず無闇に厚いこと。アナログであれば何枚も収納できる横寸を一枚のCDが占有してしまう。さらにぶつかるとガチャガチャと音を出すこと。
レコードを横積みにしていても、滅多なことでは崩れない。崩れても、美女がしなだれかかるように色っぽい(褒めすぎか)。ところがこのCDケースはすぐに派手な音をたてて崩れる。
そういうケースに閉口しているのだが、では昨今流行の紙ジャケが好きかというとそうではない。
遅きに失している。
すでに以前からCDのプラスティックケースは捨てて、専用のビニールケースに入れ替えている。そうして並べた姿はそれなりに統一感があるのだが、ここに紙ジャケを入れると妙にアンバランスになる。
最初から紙ジャケにしておけばよかったのに。つまらぬコスト削減のツケはそう簡単に回収できない。
と言う次第で、紙ジャケCDはなるべく手を出さないようにしているのだが、音質が良くなっていたりボーナス・トラックが含まれていると心は乱れる。
今日取り上げるものは数年前に紙ジャケCDになっていたのだがボーナスが入っているとは知らなかった。ボーナスの存在を知って慌てて購入。
Full Moon Full Moon (夢街名曲堂 YDCD-0117)-1972-
ちなみに新品未開封の日本盤だが海外のショップで購入。改めてグローバルな社会だと思った。
あまりに有名なもので、僕など遙かに及ばないほど聴きこんでいる方が多いので、地雷を踏まないように紹介しておく。
1972年のN.Y.録音。白人黒人の混声バンドだが、フュージョンというカテゴライズが生まれる前の様々なジャンルの音楽の原初の衝突がパッケージされたような内容。ソウルであり、ファンクであり、AORであり、ジャズであり、聴く度に発見がある「音楽に必要以上に心を奪われてしまった人のための名盤」。
もっとも僕はどうしても"To Know"、"Need Your Love"といった曲に耳がいってしまう。ソウル以外の音楽を聴く耳を持っていないのだろう(ソウルにだって大した耳は持ち合わせていないんだけれどね)。
ボーナスは2曲。特に"Jam"はこの紙ジャケCDが初収録とのこと。タイトル通り無秩序なジャム・セッションなのだが、それも愛おしく響く。どこまでもエバーグリーンな連中であった。
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