墓場まで持って行く映画 M*A*S*H
小学生の頃はテレビの洋画放映が大好きで、何百本という映画を観た。(だから今でも洋画は不自由な字幕より吹き替えが好き)
一番凝ったのは大学生の頃で、名画座に通って名画と評されているものをたくさん観た。
ノートブックを映画館に持ち込んで気になったシーンをメモ書きし、その後喫茶店でコーヒーを飲みながら清書するというような----鼻持ちならないポーズを決め込んでいた。それでもそういうノートが3冊くらいあるのだから、馬鹿も筋が通っている。
その熱が冷めたのはレンタルビデオが普及したから。
ビデオがない頃は、名画と呼ばれるものは名画座でリバイバル上映されるときに観るしかなかった。一生の間にもう観るチャンスはないかもしれないと思い定め、真剣に観たのだ。
そういう次第で好きな映画はいっぱいある。
だがそのなかで特別な位置にあるのが「M*A*S*H」。
監督はロバート・アルトマン、主演はドナルド・サザーランドとエリオット・グールド。
好きな映画を100本選んだら、その6割は1950年代のもの。1割が40年代以前、2割が60年代。70年代以降で選ぶ映画は殆どない。
ところが「M*A*S*H」は1970年の映画。
では「M*A*S*H」は完成された映画かと問われたら、否と答える。とりとめのない破綻した無茶苦茶な映画。
日本のシーンがあるのだが、そこで描かれる偽善的なシチュエーションも気にくわないし、冗長なフットボールシーンもおもしろいとは思わない。
しかしその散漫さがたまらなく愛おしい。
僕の嗜好を押しつける気はないが、「イージーライダー」は二回観ると飽きる、けれど「M*A*S*H」は観れば観るほど愛おしくなってくる。
「M*A*S*H」のテーマ曲が"Suicide is Painless"、「自殺は苦痛ではない」という恐ろしい内容。ところが、この曲の美しさ、切なさはちょっと比肩するものがない。
youtubeで"Suicide is Painless"を検索してみて頂きたい。
本家のサントラもあるが、無数のカバーがヒットする。
皆「M*A*S*H」が好きなのだ。
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