レアCD? Reflections
アナログからCDに音楽メディアの主役が変わるときで、アナログレコードとしては既に廃盤になっていたものがCDで出すとそこそこ売れるという現象が起こった。 それいけというレコード会社の勢いに便乗して、ソウルも相当数の国内盤CDが出た。しかし、ソウルのCDは期待ほどには売れなかったと思う。ファンの絶対数が少ないことと、アナログ・レコードで持っていれば充分と考えてしまうから。
というわけで1991年にこれが国内盤でCDになった。
Love On Delivery Reflections (東芝EMI TOCP-6595) ※オリジナルはCapitol 1460(1976)
これは海外でもCDになっていない筈。ある意味レアCDと言えるかもしれない。
内容は抜群。別にCDでなくともアナログ・レコードを聴くことができる環境の方はアナログで充分(というか、この時期のCDは音がしょぼいのでアナログのほうがいい)なのだが、アナログでもあまり見かけないのが残念。
なんといってもダンサーが秀逸。疑似フィリーといった赴きのサウンドに塩辛い声がのる。"Day After Day"、"Three Steps From True Love"、"Gift Wrap My Love"の三連打の密度はものすごい。
アルバムが2枚あるという記述をネットで見かけたが、それは間違いでアルバムはこのキャピトル盤だけ。別グループの情報と混同している。 なおThe Reflections名義で7インチを出している。
せっかくこれを紹介したので、桜井ユタカさんが書いた国内盤CDのブックレットの全文を掲載する。OCRソフトで抜き出したもの。
LOVE ON DELIVERY
DAY AFTER DAY (NIGHT AFTER NIGHT) (X.Williams-A.Dish)"
LOVE ON DELIVERY (L.O.D.) (J.R.Bailey-K.Williams)
NOW YOU'VE TAKEN YOUR LOVE (E.Simmons-J.Simmons-J.Pridgen-H.Edwards)
ARE YOUR READY (HERE I AM) (E.Simmons-J.Simmons-J.Pridgen-H.Edwards)
SHE'S MY SUMMER BREEZA (J.R.Bailey-K.Williams)
ALL DAY,ALL NIGHT (RUNNIN' AROUND) (E.Simmons-J.Simmons-J.Pridgen-H.Edwards)
ONE INTO ONE (E.Simmons-J.Simmons-J.Pridgen-H.Edwards)
TELEPHONE LOVER (J.R.Bailey-K.Williams)
HOW COULD WE LET THE LOVE GET AWAY (E.Simmons-J.Simmons-J.Pridgen-H.Edwards)
THREE STEPS FROM TRUE LOVE (J.R.Bailey-K.Williams)
GlFT WRAP MY LOVE (K.Williams)
■1970年代前半のソウル・シーンを賑わせ消えて行った多才なソウル・グループたちへの今なお根強く存在する熱狂的なファンの"カムバック・コール"が僕の耳にははっきりと聴こえてくる…!
僕がいま頭の中に浮かべているソウル・グループというのは、70年前後にソウル・シーンに登場し、いくつかのヒットを物にし、その後80年代も力強く生き続け今なお入気グループとして活躍している。例えば、不朽の名曲「Kiss And Say Goodbye」のザ・マンハッタンズやデトロイトからフィラデルフィアに移り大スターになったザ・スピナーズや、同じくフィラデルフィアで大成したオージェイズといった連中ではない。 例えばこんな連中たちのことである。
●Ace Spectrum (Atlantic)
●Act One (Spring)
●Anacostia (Columbia)
●Barrino Brothers (lnvictus)
●Choice Four (RCA)
●Continental Four (Jay Walking)
●Creamd' Cocoa (Venture)
●Dynamic Superiors (Motown)
●Enchantment (UA/Roadshow)
●Escorts (Alithia)
●Ebonys (Philadelphia Int'l)
●8th Day (lnvictus)
●Executive Suite (Babylon)
●First Choice (PhMy Groove)
●The Floaters (ABC)
●The Futures (Gamble/PhiLInゼL)
●The lndependents (Wand)
●lmpact (Atco)
●The lnvitations (SilverBlue)
●The Joneses (Mercury)
●The Lost Generation (Brunswick)
●Love Committee (Gold Mind)
●Life Style (MCA)
●Skip Mahoney & the Casuals (D.C.In)
●Mark IV (Mercury)
●The Modulations (Buddah)
●The Montclairs (Paula)
●The Meadows Brothers (Kayvette)
●Mystique (Curtom)
●Natural Four (Curtom)
●The Newcomers (Stat/Truth)
●The Persuaders (Atco/WinorLose)
●Philly Devotions (Columbia)
●The Softones (Avco)
●True Reflection (Atco)
●The Temprees (We Produce)
●Tomorrows Promise (Capitol/Mercury)
●Touch of Class (Midland Int'l)
●The 21st Century (RCA)
●Whatnaut5 (Stang)
●Weapons of Peace (Playboy)
ざっと挙げてみてもこんなに数多くのソウル・グループがいた。41組もあるが実はこの他にもあと10数組ぐらいこの仲間に人れてもおかしくない連中が存在するが、スペースの都合でカットしてしまった。 そして、この41組のボーカル・グループはThe Invitations以外は全てアルバムがリリースされていて、グループ愛好者の間では文字通りひっぱりダコで、オリジナル盤は相当高い値段が付いているのもある。 今回CDで紹介することになったキャピトル・レコードのTheReflectionsもそうしたマニア好みのソウル・グループの1組なのである。 「「The Reflections /Love on Delivery」(Capitol/1460)がオリジナル・レコードの番号とタイトルで、アメリカでは75年10月頃に発売されたものである。 75年から76年にかけて、キャピトル・レコードで、わずか4枚のシングルと上記のLPを1枚リリースしただけの短命グループではあったが、ボーカル・グループとしての実力/魅力は十分に持っていた。それはリリースした4枚のシングルがすべてソウル・チャートに登場し、それなりの一般的評価を得ている.事を見ても十分に理解していただけるはずだ。 キャピトル・レコードの後79年初めにRCAからカムバックを試みたがシングルを1枚リリースしただけで消えてしまった。
■メルバ・ムーアに認められ、バック・コーラスとしてスタート
ザ・リフレクションズが結成されたのは1971年の事。場所はニューヨーク・シアイー なおこの名前のグループは他に60年代中期に「Just Like Romeo & Juliet」(Golden World)をヒットさせたデトロイトの白人グループがあるので注意して欲しい。 メンバーは次の4人。
●Herman Edwards ●Josh Bridgen ●Edmund "Butch" Simmons ●John Simmons
Simmons兄弟とH.Edwards、J.Bridgenの4入は、71年頃にニューヨークのScepterレコードのスタジオで出会っている。 レコーディング・スタジオのセッション・シンガー/グループをしていた3人が、セプター・レコードでエンジニア/ミキサーをしていたJ.Bridgenと出会い意気投合しグループを結成する事になったというのである。 そしてスタジオ・シンガーとして活動している内に、レコード業界でその評判が高まり1972年に人気女性歌手Melba Mooreから"ツアーにパック・グループとして参加しないか"という話が舞い込み、その後3年半ほどメルパ・ムーアのパック・グループとして活動する事になった。 その間に着実に実力を付けていったザ・リフレクションズは、メルパ・ムーアの口添えもあり1975年にキャピトル。レコードに迎えられ、いよいよレコード・デビューを果すことになる。 プロデューサーのJR.Bailey、Ken Williams、Jerome Gasperのもとで、ニューヨークのAssociate dRecording Studiosでレコーディングし、誕生したのがこのアルバム『LOVE ON DELIVERY』という訳である。 ところで、プロデューサーのJ.R.Baileyというのは我々R&B/ソウル・ファンには結構知られたベテランのR&B/ソウル・バラディアー・タイプのシンガーである。 50年代のドゥーワッブ・グループ(The Velvetones、The Crickets、The New Yorker、The Cadillacs/1956~72)に参加していた経歴の他に、ソロ歌手としても70年代にはToy、MAM、United Artistsなどで多くの作品を残している。またソング・ライターとしての才能も有名でMain Ingredientの72年のヒット「Everybody Plays The Foo1」73年のDonny Hathawayの「Love、Love、Love」などがある。 その才能はもちろん、ザ・リフレクションズのこのアルバムでも②⑤⑧⑩で発揮されている。 それではここで彼らのキャビトル・レコードでのシングル・リリースを紹介しながらこのディスクの収録曲について簡単にコメントしておくことにしよう。
1.Capitol 4078 ⑩Three Steps From True Love ⑨How Could We Let The Love Get Away ⑩「スリー・ステップス・フロム・トゥルー・ラヴ」はJ.R.Bailey/K.Witliams作で、75年6月から8月にかけてソウル部門では9位迄上昇したペスト・セラーで、軽快なアップ・テンポ仕立てで迫力は十分ある。一方⑨「ハウ・クッド・ウイー・レット・ザ・ラヴ。ゲット・アウェイ」はメンバー4入が書いたバラード・ナンパーで、リード・シンガーの熱唱が印象に残る1曲である。
2.Capitol 4137 ②Love On Delivery ⑦One lnto One ②「ラヴ・オン・デリヴァリー」は2弾目のヒットで75年10月~12月にかけてソウル部門の58位までL昇した作品で⑪と同じくBailey-Williamsコンビの作。アップ・テンポのリズムで仕ヒげた曲で、リード・シンガーの熱唱とゴスペル・スタイルのコーラス・ワークは印象的だ。⑦「ワン・イントゥ・ワン」は再びメンバー4入の作詞作曲による作品で、スロー・バラード仕上げの好メンバー。
3.Capitol 4222 ①Day After Day ④Are You Ready ①「デイ・アフター・デイ」は76年2月~3月のスマッシュ・ヒット。ソウル・チャートでの最高位は37位。K.Williams作のスムーズなテンポの乗りの良いナンパーで、ザ・スピナーズ・グループがここでもチラホラ顔を出している。尚アレンジャーとして往年の入気R&B歌手のJ.J.Jacksonの名前が見えるのはうれしい。 ④「アー・ユー・レディJは4人の作詞作曲ナンバー。軽快なテンポのトランプス/スピナーズ・グループで仕ヒげられている。リード・シンヴーの熱唱がひときわ目立つ1曲だ。
4.Capitol 435S ⑪Gift Wrap My Love ⑤She's My Summer Breeze ⑪「ギフト・ラップ・マイ・ラヴ」は76年12月末一77年2月にかけてのスマッシュ・ヒットで、ソウル部門では66位までしかL昇しなかったが、曲としては中々魅力あるアップ・テンポ仕ヒげで、ザ・トランプス・グループでぐいぐい押しまくるリード・シンガーの熱気がすごい。.⑤「シーズ・マイ・サマー・プリーズ」はBailey・Williams作のバラード・タイプの曲だが、曲が少しもたついたところがあり少し魅力に欠ける。
残りの3曲がシングル化されていない作品である。 ③「ナウ・ユーヴ・テイクン・ユア・ラヴ」はグループの4入作のバラード・ナンバーでリード・シンガーはクセのある通常の人とは別の人がメインになっているが、後半には熱っぼく歌うクセのあるリード・シンガーが聴ける。やはりこの声が出てくると聴く側も何か安心出来る。 ⑥「オール・デイ。オール・ナイト」はBailey-Williamsコンビの曲で軽いテンポの熱気に満ちたコーラスが楽しめる1曲で、これはとくにフィリーのThe Trammpsに似た作リになっている。 ①「テレフォン・ラヴァーJはまず電話での勇女のやりとりにつづいて歌がスタートするミディアム・テンポの軽快な仕上げで、これはザ・スピナーズ・グループでスタートし、ザ・トランプス・グループで終る、中々かっこいいナンパーである。
(SOUL ON誌/桜井ユタカ)(1990-12-20)
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