Harvey Scales "All In A Nights Work"
オーティスの"Try A Little Tenderness"カバーの続き。
正しくはこの"Try A Little Tenderness"は古いポピュラーでフランク・シナトラも歌っている。R&Bでは女性シンガーLittle Miss Cornshucksの1940年代録音のふくよかな表現が素晴らしい。
しかしオーティスによる大胆な解釈(アレンジはスティーブ・クロッパーとオーティスの共作)以降、ソウル/R&Bでは殆どがオーティス版を下敷きにしている。
構成がドラマティックというか難しくバラーディアとシャウターの両方の要素が必要なのでカバーはそんなに多くない---と思っていたのだが、指折り数えてみるとけっこう思いついた。
そのなかから思い出深いこいつを。
All In A Nights Work Harvey Scales (Earthtone ETCD-1)-1991-
シンガーとしてだけでなく作曲とプロデューサー業でも地道に活躍してきたハーヴェイ・スケールズだが、1990年前後は一つのピークにあった。
ジェシ・ジェイムスのプロデュースと、良質なインディ・シングル作品。
その彼が満を持して出したアルバムで、当時日本でブームを起こしつつあったインディ・ソウルのムーブメントの中心の一枚となった。
歌いかたがラフで、ちょっと崩れたところもあるが、なにより声がよく、3曲カバーしているオーティス・ナンバーもなかなかに聴かせる。
ベスト・トラックは"Spend The Night Forever"かな。Too Muchな歌いかたがソウル度を高め、胸がしめつけられる思い。
ところでこのアルバムは、その印象的なジャケットのインパクトが大だが、よく見てみるとこれは尋常な傘じゃない。ビアガーデンのテーブルに挿してあるような代物で、持ち歩けないだろう。
一見エレガントに感じられるが、けっこう笑える構図。
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