Cheatin' In The Next Room / George Jackson
この歌が哀切な別れの歌だということ。
それに気づいたのが原作者ジョージ・ジャクソンによる録音が日の目を見たこのCD。
In Muscle Shoals George Jackson (Grapevine GVCD 3003)
ここに未発表だった自演が収められている。まずこれを聴いていただく。
Cheatin' In The Next Room / George Jackson
なんという美しいメロディだろう。
そしてジョージ・ジャクソンの歌の素晴らしさ。声量とか音域とか、そういう基準で言えば彼は巧いシンガーではないが、その声はまっすぐに僕の心に飛び込み、魂を震えさせる。
涙を抑えないといけないくらい、この歌は美しく哀しい。
これが「今から楽しいことするもん」というラブソングの筈はない。
今回、Z.Z.ヒルをはじめ、いくつかのカバーを集中して聴いたが、確かにどれも美しい哀しさをたたえている。ただオーティス・クレイのものを除いて(笑)
ところで、このジョージ・ジャクソンの録音はいったい何なのだろう。
普通に考えれば誰かに楽曲を提供するためのデモ録音と思われる。黒人シンガーの多くは楽譜なんか読めないというか、読んだところでソウルは伝わらないから、自分で歌入れしたほうが手取り早い。
このCDの記載によると、収められた録音は1974年~79年とのこと。
となれば79年、Z.Z.ヒルに渡すためのデモ録音と考えるのが妥当。
だが、ソウル・ファンとしては無理にでもなにかストーリーが欲しい。ジョージ・ジャクソンが自分で発表するつもりだったとか、もっと早い時期、Z.Z以外の誰かのために書いたものがお蔵入りになっていたとか。
もちろん、そこには秘められた哀しい事実があった----ああ、ソウル・ファンの妄想にはキリがない。
The comments to this entry are closed.
Comments