Curtis Mayfield "Something To Believe In"
昨日のニュー・ソウル時代のレイ・チャールズから、なんとなくこれを取り上げる気になった。
Something To Believe In Curtis Mayfield (Curtom 3077)-1980-
ニュー・ソウルのムーブメントは遠く、ソウルの時代も終わろうとしていた時期。天才カーティスにとっても、やるべきことを見失っていたのだろうか。散漫な内容。
しかし、それでも聴きどころがたくさんあるのは、稀有な音楽職人であるカーティスならでは。さらに、方向性が定まらないゆえに、このアルバムから読みとれる事があると思っている。
楽曲的にはカーティスの最高作の一つ"Trippin' Out"がある。
インプス時代の"It's Alright"のリメイク。以前からライブで演っていたように間にこれまたインプス時代の"Amen"をはさむもの。カーティスのまだ幼い実子をコーラスに参加させており、微笑ましくはあるが出来は凡庸。
興味深いのはジョニー・エースの"Never Let Me Go"のカバー。これはカーティスを理解するときに非常に重要なものだと思う。
まずカーティスはありあまるソング・ライティングの才がありカバーは少ない。さらにこの曲をカーティスがカバーするのは二度目になる。最初はインプス時代、それも実質的なカーティス&インプスのスタートとなるABCでの1stに収録されている。
二回のカバーを比べると出来は圧倒的にインプスのものが上。こちらのカバーは、どうしてこんな形でと思うほどおもしろくない。
おもしろくないからこそカーティスのファンとしては深読みしてしまう。若きカーティスはどんな思いでジョニー・エースを聴いていたのか、ソウルの時代の終わりにどんな思いでこの曲を歌ったのか。彼の原点回帰、再出発だったのか、単なる埋め草だったのか。
その他の曲も玉石混淆。まとまりのないアルバムだが、カーティスの熱狂的なファンである僕には「無人島に持って行くレコードの一枚」なのかもしれない。
The comments to this entry are closed.
Comments