James Taylor "Sweet Baby James"
そもそもアメリカの非黒人の音楽をあまり知らない。
なにかのきっかけで聴いて、いいじゃないかと感じると、そのミュージシャンについて集めることはある。
そんなわけで体系的にはなにも知らないのだが、たとえば今日とりあげるジェイムス・テイラーについては、ほぼすべてのアルバムを持っている。
たくさんのアルバムがある人だが、やはり一番好きなのはこれ。
Sweet Baby James James Taylor (Warner Bros. 1843)-1970-
ジェイムス・テイラーの1stアルバムはAppleから出ているが、彼の人気を不動にしたのはこの「スウィート・ベイビー・ジェイムス」。
1969年をロックの終わった年だと言う人がいる。
ラブ&ピース、ヒッピー・カルチャー、フラワー・ムーブメント---そうした夢はジャニス・ジョプリンとジミ・ヘンドリクスがドラッグで死ぬことで現実に引き戻されたしまった。
そのエアポケットに出現したのが、このジェイムス・テイラーの1970年作品。だからこそジェイムス・テイラーは時代を受け入れられた、とその話は続くのだが、その真偽はどうだろう。
今日、突然にこのアルバムを取り上げた理由を書いておこう。
先日、名古屋のソウルバー「Quinvy」に顔を出したところ、カウンターで熱心にソウルのレコードを眺めている先客がいた。
僕よりご年配とお見受けしたが、本当に音楽に詳しい。
伝説の雨のグランド・ファンク・レイルロードを観たとか、とにかく70年代のロック関係の来日公演はすべて行っているんじゃないかと思われるくらい。
とてもロック方面ではついていけないのだが、ジェイムス・テイラーが好きというところで一致した。あ、もちろんソウルが好きというのもなんだけれど。
帰宅後、もちろんジェイムス・テイラーを聴いて、その熱が続いているという次第。
名曲ばかりのアルバムから、敢えてジェイムス・テイラーの自作ではないカバー曲を貼っておく。
Oh,Susanna / James Taylor
フォスターの書いたお馴染みのメロディを、これ以上は望み得ないほど美しく歌う。
歌詞が微妙に違っている。ジェイムス・テイラーによる改作なのだろうか。
このアルバムには手書きの歌詞カードがついているが、「オースザンナ」は記されていない。
せっかくなのでジェイムスの歌詞を記しておく。
Well I come from Alabama with my banjo on my knee
And I'm bound for louisiana, my own true love for to see
It did rain all night the day I left
The weather was bone dry
The Sun was so hot I froze myself
Suzanne, don't you go on and cry
I said, oh, Suzannah
Now, don't you cry for me
As I come from Alabama with this banjo on my knee
Well I had myself a dream the other night
When everything was still
I dreamed that I saw my girl Suzanne
She was coming around the hill
Now, the buckwheat cake was in her mouth
A tear was in her eye
I said, that I come from dixie land
Suzanne, don't you break down and cry
I said, oh, suzannah
Now, don't you cry for me
'Cause I come from alabama with my banjo on my knee
アラバマから、スザンナの待つルイジアナ州ニュー・オーリンズに帰ってくるという詞だが、気になるのは”I come from dixie land”というところ。
ディキシーランド=ニューオーリンズのことだと思っていたのだが、違うのかしらん。
原詞では"I soon will be in New Orleans"とあり、どうも不思議。
さておき、これは本当に良い曲だなぁ。
youtubeでアメリカの郷愁を感じる映像があったので貼っておく。
ついでにこいつも楽しい。
ところでこの「オースザンナ」、原詞の2番は現在歌われることが殆どない。
"I jump'd aboard the telegraph and trabbled down de ribber,De lectrick fluid magnified, and kill'd five hundred Nigga."
マーク・トウェインばりのホラ話だが、当時のハイテク技術である電信器の電流を川に流してしまい500人の黒ん坊(ニガー)が死んだ、とあるのが現代のタブーにひっかかる。
ただし詞をよく読むと、この主人公自身が黒人とも受け取れる。
「もしニュー・オーリンズでスザンナを見つけられなかったら、この黒い俺はおっ死んじまう」とあるのだ。
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