時事コラム CDが売れない(続)
しばらく前に「時事コラム CDが売れない」を書いた。
中年以上の音楽愛好家には「音楽を駄目にしたのはレコード会社だ」という思いが共通してあると思う。
ただ、いまさらその論議を蒸し返してもと思い、少なくともレコード~CDの価格を30年間、ほぼ据え置いてきたのはレコード業界の努力だと書いた。
需要と供給の関係から好きこのんで業界がしてきたことじゃないのだろうが、努力してきたことは確かで、認めなければ失礼にあたる。
しかし、そうやって擁護しようと思っても、こういう所業を見るとひたすらに腹立たしい。
例のビートルズの限定monoボックスである。
僕は熱狂的なビートルズ・ファンではないから、余計にビートルズ・ファンが可哀想に思えてくる。
ビートルズのアルバムなんて現在のCD容量の半分も使っていない。
今回のリマスターについては、それぞれのアルバム毎にステレオとモノの両方を収録できるはずだ。
そういうサービスをせずに、取れるところからは取ってやろうという売らんかな発想も嫌だが、一つのアルバムをいくつもの異なった形で存在させるというのは、大袈裟に言えば音楽に対する冒涜だ。
これを買うビートルズ・ファンの気持ちはよくわかる。
僕も買おうかなと思ったくらいだから。
だが、結果として、これはビートルズを聴く入り口を狭き門にすることだ。
これからの若い音楽ファンにとってビートルズはますます疎遠になるだろう。
音楽産業を殺してきたのは、やはりレコード会社なのだという大方の意見に組するしかない。
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