Willie Clayton "Gifted"
という期待がわきあがるが、Endzoneでの前二作から後退したように感じる。
ともすれば「歌が巧い」というだけで平板になってしまいがちなウィリーのアルバムに活を入れるのは冒険だが、現在のMalacoにそれを求めるのは難しいだろう。安定だけで苛酷なブラックミュージックのショービズを永年生き延びてきたレーベルだから。
Gifted Willie Clayton (MalacoMCD 7529 )-2006-
01 Boom, Boom, Boom
02 Beautiful
03 Can I Change My Mind
04 When I Think About Cheating
05 A Little Bit More
06 My Lover My Friend
07 Running Out Of Lies
08 She's Holding Back
09 Missing You
10 Sweet Lady
11 Dreams
12 My Miss America
13 Trust
1の歌い方はロナルド・アイズレー。残念なことにバックのエロ度が追いついていない。
2、典型的サザン・ソウル。ウィリーの歌は良いのだが、なにか一つ足りないように感じる。
3、古くからのウィリーのファンとしては頭を抱えてしまうカバー。タイロン・デイビスのこの曲をウィリーは80年代の早い時期に録音しており、今回のは自分のそれの焼き直しにしか聞こえない。
4、ブルージーなバラード。あまり盛り上がらない。
5、ブルース調。Malacoだから、しかたがないか。これってジョニー・テイラーが歌った曲のカバーかな?
6はしっとりしたバラード。バックのサウンドが凡庸で盛り上がらない。
7、ブルース調の変な曲。
8でようやくウィリー本来のミディアムの良さが出てきた。彼の曲としては金太郎飴だが、どこを割って舐めてもうまい。
9、と思ったらここでブルース。Malacoだから(くりかえし)。
10、一曲ごとに盛り返す。お得意のタイロン調。これまた舐めて美味しい金太郎飴。
11でようやく音作りとウィリーが真っ向からぶつかる。フォーキーな音に、ファルセットまじりの歌。曲としての魅力はいまひとつの感もあるが、こういう刺激は新鮮でいい。
12、そしてまたタイロン調。さすがに飴も舐め飽きたかな。
13、シャーリー・ブラウンとデュエットする落ち着いたスロー。さすがにこの二人の歌は聴きどころがある。
以上、僕の評価が辛口なのは、Endzoneの前二作、特に"Changing Tha Game"(2004)が素晴らしいアルバムだったから。
だが、それでも90年代のマンネリに比べれば圧倒的にいい。音作りには不満はあるが、音そのものはクリアだし、歌はもちろん素晴らしく、現在のインディからのソウルアルバムとしては標準を大きく上回る出来には仕上がっている。
(現在のMalacoは大手とディストビュート契約を持っていないようだからインディと表現してもいいだろう)
あとジャケットは、これまでのウィリーのもののなかで一番高級感がある。さすがMalacoと誉めておく(次作以降裏切られるのだが)
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