Willie Clayton "Let's Get Together"
そのHi傘下のPawnでの録音時ウィリーは18歳だったのだから人生の半分の時節を経て、とも言える。
Let's Get Together Willie Clayton (Ace ACE 2052)-1993-
※日本ではP-Vineがディストリビュート。解説と帯をつけPCD-1023としてリリースしている
レーベルはルイジアナのAceに変わり、ウィリー自身もニューオーリンズに住まいを移し心機一転---と表現したいところだが、またしても旧録音からを何曲か引っ張ってきている。
今だからこそ、PC上のデータベースで曲をソートして、「これは○○に収録済み」と通ぶったことを言う楽しみがあるが、当時は正直げんなりしたものだ。
新録についてもウィリーに南部サウンドをあてがうのはどうなのかという疑問は生じる。
歌のうまさが流暢すぎてサザンソウルに求められるヘタウマ感が出せない。しかたなく、無理にがなるような自ら歌を低いところにあわせる風が出てきてしまう。
特にこのアルバムから入るようになったブルースでそれは顕著。
ただし、ウィリーが活躍できる場は南部のチタリンサーキットにしかなかった。大先輩のタイロン・デイビスですらそこに活路を求めた時代。
さらに、この道でこそウィリーはたくさんの録音を残し、生き残るどころか、ソウルシーンの小さな巨人として成長していく。
そして、なんだかんだ言ってもこのアルバムにも珠玉のソウルが何曲が収録されている。腐ってもウィリー、いやいや全然腐ってなんかいないぜ、ということだ。
01 Three People (Sleeping In My Bed)
02 Don't Make Me Pay
03 Back Street Love Affair
04 Let's Get Together
05 Does Your Mama Know
06 Walk Away
07 Welcome Home
08 Party Down
09 I Love Stealing It
10 How Do You Love 2
11 Let Me Love You
12 Feels Like Love
1は典型的な90年代以降の南部インディソウルのストンプ。新録についてはその道では先輩のフランクOことフランク・ジョンスンが制作している。おハコの口笛もちょいと聞かせて軽快にスタート。
2、はいお約束のブルース。この曲でのウィリーの歌は気合いがはいって、ブルースずれせず好感がもてる。ただバックのサウンドがいけない。エレピとシンセブラスを使ったブルースは正直つまらない。
3で前曲に感じた疑問も払拭。素晴らしいバラード。作者のフランクOが自身のアルバムに吹き込んだもののカバーとなるが、この手の曲を歌わせたらウィリーは天下一品。このアルバムのベストトラックを5と競う。
4、もろタイロン・デイビス。手慣れたもので新味はないが、この手の曲があってこそウィリーのアルバムだという定石で安心できる。
5も素晴らしいバラード。バックの女性コーラス、サウンド、ウィリーの丁寧な歌と申し分なし。これもカバーでオリジナルはボビー・テイラー(ヴァンクーバーズ名義)、原曲に従い南部臭さがない。愚痴になるがやはりウィリーはノーザンのサウンドにあう。ところでウィリーのこの頃までの傑作って殆どカバーなんだよね、極めつけのオリジナルを持てなかったというのが残念。
6、いつもの使い回し。ディビッド・ラフィンのカバーで既出だが、嫌なことにタイトルを変えている。初出カバーのときはちゃんと"Walk Away From Love"とクレジットしていたのに、ここでは"Walk Away"、そうまでしてファンを欺きたいのかと勘ぐりたくなる。
7、ウォルター・ジャクソンのカバー。風変わりというのが最大のポイントで魅力にたりないように思う。歌は相変わらずべらぼうにうまいが。
8、すわリトル・ビーバーのカバーかと期待したのが悪かったかな。オリジナルのブルースで、ひどくつまらなく聞こえる。
9はクールなリズムの曲。メロディの魅力に欠ける気がするが後半の歌は「なんなんだ」というくらいにうまい。
10、また入っている既出曲。しかもこれもタイトルを微妙に変えている。"Two"を"2"と表記変えしてヒップホップかと思えばブルースというのに、ずっこける。
11、12も既出。
というわけで12曲中4曲が既出の再収録。くどいようだが、リアルタイムでこういう調子のものを買わされ続けた恨みというのは深いのよ(笑)
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