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Willie Clayton "The Last Man Standing"

Willieclayton20_3 ウィリー復活の先駆けとなる2002年のアルバム。

 レーベルも変わり、スタッフも変わった。
 長いマンネリ感から脱することを期待しないわけにはいかない。

The Last Man Standing Willie Clayton (Endzone EZR2056)-2002-

 レーベルはEndzone。自身のClaytownからは結局2枚のアルバムを残しただけだった。
 そしてプロデューサーはJ.WeinbergとF.Marrioの二人に一新。これが良い方向につながった。

 変わらないのはジャケットのセンス。
 ここまでの三作のジャケットは本当にチープ。

 いかにもインディーズらしく、こういうのが好きという人もいるようだが、コンテンポラリーR&Bシンガーであるウィリーには似合わない(と僕は思っている)。

 あと余計なことだがアルバム・タイトルは好きじゃないなぁ。

01 Looking To Hook
02 I Found Love (When I Found You)
03 I Wish He Didn't Trust Me So Much
04 Ooh Baby Baby
05 Old Fashioned Girl
06 Drowning In The Sea Of Love
07 How To Treat Your Lady
08 Living With Me
09 Let The Good Times Roll
10 I Love Me Some You
11 Good Woman
12 Jesus Will Make A Way

 1、ブルース・ファンクといった風情。インディの音ながら、工夫があって今回のアルバムの音は違うぞと期待させる。

 2、優しいメロディのミディアム。力を抜いて歌うウィリーだが、猫を撫でているようで気持ち悪いという気も---

 3、ありきたりなブルージー・バラードだが、ウィリーの歌には最後まで聴きどころがある。

 4のタイトルで期待した方、残念でした。カバーではなくオリジナル曲。語りから入るスウィートなイントロから一転して明るいミディアムに。これは良い曲。

 5、これこれ。ウィリーならではのミディアム・ダンサー。起伏のないメロディを歌のテクニックだけで盛り上げるのは快感。バックのサウンドもチープなのだが健闘している。

 6はサザンソウル。いっときほどの情けなさじゃないが、やはりバックのサウンドに問題は残る。70年代に録音されていたら、すごいできあがりだっただろうと思う。

 7、一転してコンテンポラリーなバラード。メロディは綺麗だがウィリーの歌いかたに疑問。こういう猫撫で声はもったいない。

 8は素晴らしい出来の典型的サザンソウル。この音のつけかたならバックの問題も隠れる。ただ女性コーラスのつけ方が平凡でそこにもう一工夫欲しかった。

 9、サム・クックのカバー。サムの曲は、サムの歌い方以外でカバーするほうが難しい。案の定、クック・スタイルで歌う。ウィリーは本当に歌のうまいシンガーだが、サム・クックと比べると分が悪い。それも同じ歌い方なのではっきりとしちゃう。

 10、典型的サザン・ソウルだが、このバックはかなり頑張っている。21世紀のサザン・ソウルとしては最良の部類だろう。

 11、よくあるタイプのブルージーなリズム・ナンバーだが、サウンド、歌、コーラスとよくまとまっている。

 12、ここまで頑張ったが最後は旧作の使いまわし。これはアルバム"It's About Love"で歌っていたゴスペル。しかしその使いまわしが、このアルバムで一番印象深い。思うにウィリーの歌を支えるには現在のインディの音作りは弱すぎる。このゴスペルもその根っこは同じだが、シンプルな味付けなので邪魔に感じないということだと思う。

 以上、一時期の閉塞感からは脱している。ただ決定的な曲が不足している。

 今日の一曲。チョイスを悩んだが、結局最後のゴスペル。先に書いた通り、使いまわしだが良い曲。ウィリーは歌のテクニックをこれでもかとばかりに聞かせる。

Jesus Will Make A Way / Willie Clayton

 良い曲と、センスのよいバック。そこにウィリーの歌が加われば完璧だ。次作からその域に近づいていくのでお楽しみに。

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