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Willie Clayton "Love, Romance & Respect"

Willieclayton_loveromance_respect ウィリー・クレイトンの最高傑作、2009年のソウル・ベスト・アルバムと騒がれた現時点での最新作。

 確かにこのアルバムはいい。
 ブルースは一曲もやっていない。サウンドがコンテンポラリーで妥協がない。

 だが、今日まで続けたウィリーの全アルバム紹介で明かにしたとおり、ウィリーの歌はいつだって最高だったし、このアルバムのレベルに達した曲はどのアルバムにもあった。
 決してウィリーが不調だったりスランプだったりしたわけではないことを再確認したうえで、この素晴らしいアルバムを紹介しよう。

Love, Romance & Respect Willie Clayton (Endzone)-2009-

 最高だった2004年の"Changing Tha Game"はEndzoneからのアルバムだった。以来このレーベルから秀作を出してきたが、前作までの三枚はMalacoを介していた。Malacoらしいブルースへのアプローチはウィリーにとって弊害だと思っていたが、ようやくEndzone直リリースの形に。
 ただ細かいことだがCD番号がなくなった。いままでのEndzoneにはあったのだが、番号管理をしないという昨今の風潮は古くからのレコードファンには寂しい。

 プロデュースはDamell “Showcase“ Taylor、Miykal Snoddy他。優れてコンテンポラリーな音になっている。

01 Dance The Night Away
02 I Need To Know
03 We Both Grown Featuring Dave Hollister
04 Good Woman, Good Man
05 Love To You
06 My Everything
07 Put It On Me
08 Special To Me
09 Some Kind Of Wonderful
10 Where Were You
11 We Both Grown (Bedroom Mix )
12 The Best Years Of My Life
13 Dance The Night Away (Steppers Mix )
14 Shake Your Money Maker

 1、軽快なステッパーでスタート。バックのサウンドも垢抜けている。

 2、メロウなミディアム。アル・グリーン唱法もこのごろではお手のもの。

 3がハイライトの一曲。デイブ・ホリスターとデュオを組む。優れてコンテンポラリーなR&Bに仕上がっている。歌の巧さではウィリーのほうが上だろうと思うが、小さな巨人の彼にないサムシングがデイブにはあり、その組み合わせの妙が楽しめる。

 4、じっくりと聴かせるスロー。こういう曲調ではバックのサウンドのショボさがこれまで耳についたが、今作ではそんなことなし。

 5、地味が滋味に変わるようなメロウな曲。僕は非常に気に入っている。

 6、目立つ曲ではないが、軽く歌う感じがアルバム中ではいい感じを放つ。

 7、じっくりと歌われるミディアム・スロー。5曲めからの目立たない流れは心地よい。

 8は歌をしっかりと聴かせるミディアム。70年代ソウルの香りがある。

 9は一転して軽快なリズム・ナンバー。ここに来てインディのチープな音が尻尾を出すが、それも愛嬌。

 10は美しいスロー。盛り上がりにやや欠けるが、一曲一曲にがつがつしないのが大人のソウル・ファンってことで。

 11、3のリミックスだがかっこよく美しい。

 12こそ僕にとってのベスト・トラック。なんとジェネラル・クルック曲。80年代にウィリーがカバーしたものの、そのまたリメイク。
 ああジェネラル・クルックよ、ああウィリー・クレイトンよ。あの頃の奇跡の様なソウルは現実的にはもう求め得ないのかもしれない。しかしウィリーの歌は衰えてない、いや逞しさを増している。
 これぞ21世紀のソウル。これぞ21世紀のウィリー。感涙しかない。

 13、オープニングのステッパー感をさらにアップ。感動の12からの切り替えが鮮やか。

 14、最後はタイロン・デイビス。歌いかたは似せていないのだが、曲がもろに"Turn Back~"のベースライン。この曲でチタリン・サーキットのおばちゃんたちがどれほど盛り上がるか、youtubeに映像が上がっているのでぜひご覧いただきたい。

 以上14曲。

 確かに現在、これ以上のソウル・アルバムはそう容易には出て来ない。
 ましてやインディ・シーンでこれだけ歌えるシンガーは一握りしか見あたらない。

 メジャー級の歌唱がインディならではのソウル臭を持ち、しかも楽曲とも一定のレベルをキープしているというわけだ。

 だが僕はこれをウィリーのステップの一つとしたい。
 今回のアルバムの評価を彼も体験しているはずだ。
 それが、しっかりと身を入れて録音を残そうという刺激になっているとすれば次作はもっと凄いものができる。

 ウィリーの最高傑作アルバムはまだまだこれから出る。

 その期待をこめて、一ヶ月続けたウィリー・クレイトン全アルバム紹介を終える。

 それにしてもこの一ヶ月、毎日ウィリーを聴いていた。
 持っているだけで聴き直していない盤から、たくさん気づき学ぶことがあった。
 少しだけソウル・ミュージックの真実に近づけたかもしれない。

 最後にこのアルバムに記されたウィリーからのメッセージを記しておく。

Don't Just Dream It, Do It, Be Who You Are.

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Comments

Sugar Pie Guyさん、お疲れ様でした。
Willie Clayton特集、これから彼のCDを買う際の参考にさせていただきます。また、Johnnie Taylor、Bobby Blue Bland、Marvin Sease等のインディ/サザン・ソウル系の特集も心待ちにしています。
開業のため、いろいろとお忙しそうですが、応援しています!

Posted by: Beau | February 03, 2010 07:18 PM

> Beauさん
ご愛読ありがとうございました。
こういうコンプリートは柄でもないので、好き勝手思いつくまま気のむくままにやっていこうと思いますが、たまには頑張ってみようかな。
Beauさんの挙げられたなかではマーヴィン・シーズはやってみるかもしれません。他の二人はあまりに偉大で手に余ります。
以上、ハワイ島よりコメント。

Posted by: Suagr Pie Guy | February 05, 2010 07:35 PM

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