Cool Million "Back For More"
大雑把に言えば1950年代からの電気楽器、録音技術の加速度的な進化がピークに達した時代だった。
音楽の演奏技術の標準点が上がり、さらにその上をいく超絶技巧のスタジオ・ミュージシャンが華麗なパフォーマンスを見せつけた。
もちろん技術過重でプリミティブな魂が失われたという側面はあるが、90年代以降のコンピュータが支配する音作りに比べれば遥かに素晴らしいものだった。
ああ、これは懐古趣味です(笑)
60年代にはモータウンがポップすぎると言われ、70年代のフィリーが堕落と言われのと同じ類。
今聴くと90年代~00年代R&Bもそれぞれに魅力的に響く。
失われた時代は常に美しいものです(笑)
それを承知で感涙にむせぶCDが出た。
Back For More Cool Million -2010-
クール・ミリオンはデンマーク人とドイツ人によるプロジェクト。
彼らの新作(2ndだそうだ)は、聴く価値大アリの秀作にしあがっている。
詳細はこちらに詳しいが、実力派のシンガーをオールスターで取り揃え、しかもその連中に思い切り歌わせている。(思うに単に名前だけでなく、今歌えるかを厳しく吟味したのだろう)
いきなりハイ・ファッションのメリサ・モーガンでスタートですから。
う~ん気持ちいい。
ライトでメロウでクリスタルでバブリーなファンク。
ただ10回くらい店のBGMとしてヘビロテさせると、さすがにアラも見えてきた。
★やはり80年代の音そのものではない。なにか作りものめいた響きがある。
これはどこかで得た感触---UKソウルや渋谷系サウンドに共通する、ストリートネスの欠如。
決定的な欠点ではない。2010年の作品として当然持たなければならない時代性であり、そもそもUKソウルが大好きな人にとっては好材料。
★曲がどれも同じで聴き続けると単調。
ゲストミュージシャンの多彩さでうまく回避している。コンピレーションアルバムとして聴くのがいいかもしれない。たとえばモーリス・ホワイト作品集とかナイル・ロジャース作品集のようなものだと。
という次第で当初は大傑作と思っていたのだが、やや後退し秀作レベルに。
それでも、これだけの秀作はなかなか出てこない。
80年代ライトファンクが好きな方には強くお勧めする。
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Comments
>当初は大傑作と思っていたのだが、やや後退し秀作レベルに。
いや、近年ない大傑作でしょう。1stよりも出来は最高に良い。
>80年代の音そのものではない。なにか作りものめいた響きがある。
いや、それはそうでしょう。2010年リリースですし、やはり2010年の音ですよ。テイストだけ80年代でそれふうに再現してみせただけでしょうね。
>曲がどれも同じで聴き続けると単調。
いやいや、違いますよ~。聴きこむほどに、また新たな良さが、、、。
Posted by: Masato | July 12, 2010 10:27 AM
> Masatoさん
おおすごい評価ですね。
これは大傑作と思ってヘビロテしていたんですが、その直後にスペンサー・ウィギンスが届き、そちらに足を引っ張られてしまったかもしれません(笑)
Posted by: Sugar Pie Guy | July 12, 2010 11:41 AM